第一に、路上販売など店を持たない者と持つ者との社会関係を明らかにした研究成果として、「路上販売が紡ぎだすネイバーフッド・エコノミー :京都市出町エリアにおける焼きいも屋の事例から 」、「京都市出町商店街における路上商人と ローカルコミュニティ:絡まり合う敵対性と協働性」の論文を執筆し、査読論文として学術誌に掲載された。また、研究期間中のほとんどが、コロナ禍だったということを、学術研究の中に取り入れるため、コロナ禍の商店への聞き取りや参与観察を、研究ノート「新型コロナウィルス感染症と地域コミュニティ―京都市出町桝形商店街における語りの分析から 」として記録した。あわせて研究成果を、学会や研究会で発表し、学術コミュニティ内で活発な意見交換をおこなった。 第二に、これらの研究成果のアウトリーチ活動を行なった。具体的には京都国際写真祭のシンポジウム「災害・緊急事態とコミュニティ:出町桝形商店街とKYOTOGRAPHIEの現場から 」に登壇し、研究成果の発表を行なった。さらに同芸術祭に合わせて、子供向けのワークショップ「商店街からのエコー! 」を実施し、研究成果を子どもに伝わる工夫を行なった。 第三に、学術成果を社会へ還元する狙いをもって、「にぎわいが生まれる場所ってどんなとこ?多様な人が集まる店主と探求する、場づくりのコツ 」と題したトークセッションに登壇し、銭湯経営者、美容室経営者と共に、街の中の「商店」がいかに街を作るか、という視点で研究成果を発表した。そのほか「まちのにぎわいを考える 」など、研究課題に関連したコラムを一般誌に掲載するなど、広く研究成果を伝えるための活動を行い、そこから得られた情報や新たな知見を研究に活かすことができた。
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