研究課題/領域番号 |
22J23779
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
坂本 唯 立命館大学, 先端総合学術研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 原子力災害 / 福島第一原発事故 / 原発避難 / 公害問題 / 記憶の想起 / 記憶表現 / 生活史 / 環境社会学 |
研究実績の概要 |
当該年度は1)創作活動をおこなう原発避難者への聞き取り、2)原発賠償訴訟団への参与観察、3)原子力発電所から30㎞圏内地域住民の放射能測定についてヒアリング、4)『環境社会学研究』への論文投稿をおこなった。 1)当該年度において新たにインタビュー調査をおこなった12名であり、その中から原発事故をきっかけに創作活動をはじめた人物は2名であった。対象者へのインタビューおよび創作活動現場での参与観察をおこなった成果を、原子力災害における記憶の継承をテーマに「第95回日本社会学会大会」、「第1回東日本大震災・原子力災害学術研究集会」にて研究報告をおこなった。 2)関西圏にある3つの原発賠償訴訟団への参与観察では、裁判の傍聴や報告集会の参加から法の枠組みのなかで原発避難者が表現する被害の実態を確認することができた。加えて、1)の対象者が、司法の中と外では異なる表現方法で原発事故の経験を伝えていることを確認することができた。 3)前年度以降は関西圏への避難者が主に調査対象であったが、当該年度では避難の実態をより多様な視点から考察するために、調査対象者の拡大をおこなった。具体的には、原子力発電所から30㎞圏内地域住民が、放射能測定をおこないながらどのように地域での生活を継続してきたのかについてヒアリングをおこなった。このことから、避難を選択しない原発事故以降の生活実態を今後さらに考察していく視点を得ることができた。 4)2020年度より継続してきたテーマである「原発避難者による創作活動を通じた生活再建」についての投稿論文を、第28号『環境社会学研究』に掲載することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、避難先での創作活動を成り立たせている複数のコミュニティ(創作の発表の場、裁判における表現の場)での参与観察をおこなうことができ、それぞれの場において原発事故被害の経験が異なる実践で伝えられている点を確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に行った1)創作活動をおこなう原発避難者への聞き取りの調査結果を、原子力災害における記憶の伝承をテーマに論文を投稿する。また3)で得られた視点の考察を進めるため、福島県いわき市を拠点に放射能測定を自主的におこなうグループを現在調査中である。
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