研究課題/領域番号 |
20J40102
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
田中 友香理 関西大学, 心理学研究科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2021-01-04 – 2024-03-31
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キーワード | 身体感覚 / アタッチメント / 妊娠期 / 親子関係 / 内受容感覚 / 触覚 / 多感覚統合 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,①妊娠期~授乳期の母親の身体感覚の特徴,②妊娠期~産後の母親の身体感覚の個人差と乳児期のアタッチメントとの関連,を実証的に検討することである。令和2~5年度の研究期間内に,妊娠期~産後12ヶ月までの母親と乳児,妊娠・出産経験のない女性を対象として,三つの研究を実施する。研究1では,妊娠期の女性の身体感覚と,胎児に対するアタッチメント感情との関連について,実証的手法によって検討する(横断研究)。研究2では,母親の身体感覚が,妊娠期から産後にかけて,母親の身体的・生理的変化によってどのように変遷するのかを実験的に検討する(縦断研究)。研究3では,妊娠期~産後の母親の身体感覚の変遷およびその個人差が,生後12ヶ月までの乳児期の母子間アタッチメントとどのように関連するのかを検討する(縦断研究)。 2021年度は,研究1と研究2を進めた。研究1では,オンライン調査による妊婦の心理指標の包括的な調査を実行した。この研究は,妊婦の身体感覚と胎児アタッチメントに関する大量の心理指標から,妊娠中の身体感覚のうち,胎児位置に対する敏感さや,妊娠期に特有の局所的変化に対する敏感さが,胎児に対するアタッチメント感情と関連することを示唆した。 研究2の目的は,妊娠・出産経験に伴い,女性の身体感覚に変化がどのように変化していくのかについて,妊娠期から産後1年にかけて縦断的に検討することであった。身体感覚が妊娠,出産に関連して変化したかどうかを検討するために,妊娠・出産経験のない女性を統制群として設けた。妊娠週数20週以降の成人女性と,妊娠・出産経験のない成人女性(統制群)を対象に,身体感覚に関する複数の実験課題を実施した。現在,データを取得中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1のオンライン調査については,データ分析を終え,2021年9月に日本心理学会にて報告した。現段階では国際誌投稿論文を準備中である。 研究2の実証実験については,現在データ取得を進めている。この研究は,妊娠期から産後1年までの妊産婦のおよび妊娠経験のない女性を対象に,身体感覚の特徴について実証的手法により検討する。本研究課題は,妊娠中の参加者と対面して調査を行う必要があるため,新型コロナウィルス感染症(covid-19)の流行により,研究実施に大きな困難が伴っていた。特に,妊婦にはcovid-19重症化リスクの高さが指摘されており,数度の緊急事態宣言期間中は実験実施を見合わせ,また,まん延防止等重点措置期間中にも実験実施数を大きく制限するなどの対応を取っていた。この間,安全かつ妥当な実験実施のための方法を主体的に検討し対応した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,研究1の論文を投稿し,成果として発表する予定である。研究2については,新型コロナウィルス感染症(covid-19)の流行状況を鑑みながら,引き続き調査を実施すると共に,妊娠期から産後にかけての女性の身体感覚の長期的な変化について追跡調査を行う予定である。 また,平行して,研究3の研究計画立案,予備調査の実施を進める。研究3では,女性の身体感覚と親子間アタッチメントの関連について実証的手法により検討する。アタッチメントについては,無意識レベルでの身体共有感覚から,母親の意識的な愛着感情まで包括的に調査する。
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