研究課題/領域番号 |
22KJ3047
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
池田 裕 関西大学, 総合情報学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 科学 / 学歴 / 価値観 / 合意 / 社会的属性 / 信頼 / 対立 / 分散 |
研究実績の概要 |
福祉の分野では、国際比較調査のデータを用いて、日本と韓国の福祉国家への支持の研究を行った。先行研究は、日本の福祉国家への支持の平均値が先進国の中で最も低いことを示す一方で、福祉国家への支持の分散と独立変数の効果に関して、日本の特徴を調べていない。本研究は、国をグループ化変数とする多母集団同時分析を行い、福祉国家への支持の平均値、分散、独立変数の効果を比較した。相対的に、韓国の福祉国家への支持の平均値が高く、分散が小さいので、福祉国家の重要性に関する合意が韓国の特徴であることがわかった。裏を返せば、日本の福祉国家への支持の平均値が低く、分散が大きいので、福祉国家をめぐる対立の鮮明さが日本の特徴であることがわかった。先行研究は、日本の福祉国家をめぐる対立が鮮明でないことを示唆する。しかし、日本の福祉国家が政治的争点である程度が低いとはいえないし、福祉国家の重要性に関する合意があるとはいえない。 福祉以外の分野では、日本のインターネット調査のデータを用いて、科学への信頼の研究を行った。先行研究では、低学歴者と高学歴者の比較可能性に関する懸念があった。本研究は、学歴をグループ化変数とする多母集団同時分析を行い、科学への信頼が学歴間で十分に比較可能であることを示す証拠を発見した。本研究のモデルを使うことによって、科学への信頼の学歴差に関して、信頼できる結論を出すことができる。加えて、自己表現重視の価値観が高い人ほど科学を信頼する傾向が強く、自己表現重視の価値観の効果が低学歴者よりも高学歴者で大きいこともわかった。これは、科学の信頼性をめぐる対立が価値観に基づく対立でもあることを示唆する。高学歴者の不信が比較的安定した価値観に基づいているなら、科学者が彼らを説得するのは難しいと考えられる。他方で、生存重視の価値観から自己表現重視の価値観への変化は科学への信頼の醸成に寄与するかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福祉国家への支持が国家間で十分に比較可能であることを確認したうえで、福祉国家への支持の平均値、分散、独立変数の効果を比較することによって、先行研究よりも厳密な比較研究を行うことができた。同じ方法を科学への信頼の研究に適用することによって、社会的属性に基づく説明だけでなく、価値観に基づく説明も発展させることができた。このように、福祉の分野と福祉以外の分野の両方で、今後の研究の基礎となる発見があった。
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今後の研究の推進方策 |
福祉の分野では、障害者政策への支持の研究を行う。因子分析と回帰分析を行い、伝統的福祉国家政策と家族政策の次元と異なる障害者政策の次元があることを確認し、障害者政策への支持に影響する要因を調べる。福祉以外の分野では、服装への関心の研究を行う。性別をグループ化変数とする多母集団同時分析を行い、服装への関心が男女間で十分に比較可能であることを確認し、服装への関心の平均値、分散、独立変数の効果を比較する。
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