当該年度、良い胚を選ぶための評価指標を探索するためにマウス受精卵のライブセルイメージングと画像解析により出産/流産胚を比較し、これらを分けることができる定量的なパラメータを明らかにする試みを行った。胚の形状、細胞の動き、細胞期の長さの比較を行い、出産/流産胚を分けることのできる指標として、4-8細胞期までの同期性を見出した。浅田レディースクリニックとの共同研究を行い、ヒト胚の明視野観察動画から4-8細胞期の同期性を観察したところ、超音波検査陽性/陰性区の間に有意な差がみられ、4-8細胞期の同期性はマウス、ヒトに共通した指標であり、ヒト胚にも応用できることを見出した。加えて、同期胚と非同期胚を比較し、非同期胚のICMの数が有意に少ないことを突き止めた。4-8細胞期の分裂以降におこる現象であるコンパクションに注目し、非同期胚のうち、分裂が遅れた割球のコンパクションが遅延することを明視野観察およびYap1の蛍光ライブセルイメージングによって突き止め、現在論文を投稿中である。 更に、ヒト胚盤胞の明視野画像を主成分分析し、化学妊娠陽性区と陰性区を比較することで胚盤胞の粒状性という、新たな胚の評価指標を明らかにした。この研究結果もまた論文にまとめ、投稿している。
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