研究課題/領域番号 |
21J22522
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
小林 穂波 関西学院大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 探索 / 注意 / 連合学習 / 採餌行動 / 最適採餌理論 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、空間的・時間的統計情報の学習によって視覚情報の探索が促進される過程を認知モデリングと行動実験により明らかにすることである。これまで視覚的注意が情報を探索するメカニズムについては多くの研究が行われてきたが、探索中の学習過程や意思決定過程については、詳しい検討が行われてこなかった。本研究は、視覚探索における刺激の空間配置の潜在学習、古典的条件づけなどの連合学習、動物の採餌行動研究で用いられる理論を応用して、視覚情報を探索する際の、これまでの経験と学習の影響を体系的に研究することを目的として実施した。本研究によって視覚探索における学習過程が明らかになれば、これまで扱われてこなかった他の心理学分野や動物行動学分野とも接続が可能になる。新たな枠組みのもとで探索という幅広い行動のメカニズムの解明に貢献できると考える。 今年度は特に、動物の採餌行動研究を応用した視覚採餌課題を新たに用いて、探索する環境の学習が色や傾きなどの視覚的特徴への注意によって促進されることを明らかにした。さらに、採餌行動の理論を心理学で広く利用される信号検出理論と組み合わせた探索の意思決定モデルをもとにシミュレーションを行い、その結果に基づいた行動実験を実施して、探索がこれまでに経験した探索環境の影響を受けて最適な戦略から逸脱することを示した。複数の国内学会と研究会でこれらの研究成果を発表した。学術雑誌に論文として出版する準備も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により実験実施が制限される・国際学会への参加機会が制限されるなどの予期しない事態はあったが、おおむね予定通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
探索に関わるさまざまな意思決定のメカニズムや学習の過程を明らかにするため、最適採餌理論に基づいた実験課題と数理モデルを取り入れて、探索行動研究の新たな枠組みを構築する。
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