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2023 年度 実施状況報告書

停滞する日本の政治参加に対する政治忌避態度による分析

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ3057
配分区分基金
研究機関関西学院大学

研究代表者

岡田 葦生  関西学院大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
キーワード政治忌避意識 / ランダム化要因配置実験 / 政治的発言
研究実績の概要

2023年度には、日本の有権者による政治忌避意識の表出を表す現象として、著名人による政治的発言に着目した。日本においては、著名人による政治的発言が批判される傾向にあり、これは日本人の政治忌避意識に由来しているとされることがしばしばあるが、実証研究の蓄積は十分ではない。そこで、2023年度には、日米比較を通じた政治的発言に対する受容度の違い、ランダム化要因配置実験を通じた政治的発言を行う人物の属性や発言内容の影響の探索、そして政治的発言を行うために特定の能力が必要だという有権者側の特性に関する尺度開発を試みた。
日米比較の結果からは、著名人の政治的発言に対する受容度自体に日米で大きな差は見られなかったこと、そして、ランダム化要因配置実験の結果からは、発言者の属性はあまり大きな影響は及ぼさず、発言者と聞き手の立場の一致・不一致が、政治的発言に対する態度の主な規定要因であることがわかった。
著名人による政治的発言は、政治過程に影響力を有するだけでなく、有権者の情報のショートカットにおいても重要な役割を果たす。以上のことは、巷説で指摘されているように、著名人の発言というショートカットルートは全般的に忌避されているのではなく、部分的には機能していることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究経過状況は概ね順調である。2022年度に報告を行った学会や研究会で得たコメントに基づき、2023年度はその研究成果を論文として査読付き論文雑誌「選挙研究」に投稿し、同雑誌への掲載が決定している。
2023年度は、2022までの研究で扱っていた心理概念が説明しうる現象について研究を進めた。日本ではしばしば政治的な争点に関する意見表明を行なった著名人が批判を浴びる場面が散見される。そのため、本研究では著名人が政治的発言を行うことに対する人々の態度が政治忌避意識に規定されるかを検証した。現段階では、そもそも日本の人々が著名人の政治的発言を嫌う性質があるのかどうかを、日米比較を通じて検証したほか、発言者側の要素の影響を検討した。その結果、巷説とは異なり、日本の人々は著名人が政治的発言を行うことに対して特に忌避感を抱いているというわけではなく、むしろアメリカに比べてこれを受容する傾向にさえあった。また、発言者の規定要因については、発言者の属性よりも発言内容が忌避されることが判明した。

今後の研究の推進方策

2024年度は、研究成果を日本選挙学会で報告し、そこでのコメントを踏まえて英語論文雑誌への投稿を行う。また、政治忌避意識の尺度開発を行い、それを用いた政治的発言に対する実験を行う。以上をまとめ、博士学位論文として提出する。

次年度使用額が生じた理由

2023年度は国際比較調査や、その前段階としての事前実験の実施など調査を行ったが、実験手続きの変更により取得サンプルが減少した。そのため、謝礼金に使用する金額が予定より減少したため、差額が生じた。
次年度使用額は、学会への参加費・論文の公刊費に使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 政治忌避意識の心理的構造2024

    • 著者名/発表者名
      岡田葦生
    • 雑誌名

      選挙研究

      巻: 39 ページ: -

    • 査読あり
  • [学会発表] いつ会話は『政治的』になるのか2023

    • 著者名/発表者名
      岡田葦生
    • 学会等名
      日本選挙学会
  • [学会発表] 一般他者の選好の推測が政治的会話への抵抗感に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      岡田葦生
    • 学会等名
      日本社会心理学会
  • [学会発表] 疎外の意味の日米比較2023

    • 著者名/発表者名
      岡田葦生・淺野良成
    • 学会等名
      日本政治学会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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