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2023 年度 実績報告書

線虫の低温馴化の神経回路における「ぶり返し時間差反応」の光遺伝学解析

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ3060
配分区分基金
研究機関甲南大学

研究代表者

本村 晴佳  甲南大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワードC. elegans / 温度順化 / CREB / 神経回路 / カルシウムイメージング / グルタミン酸 / 温度受容ニューロン
研究実績の概要

温度変化は生物の生存・繁栄に密接に関わる。線虫Caenorhabditis elegansでは温度変化への応答として温度馴化現象がみられる。C. elegansは25℃飼育後に2℃に置くと死滅するが、25℃飼育後に15℃を3時間以上経験すると2℃でも生存できるようになる。この温度馴化現象を指標に温度応答の神経回路の解析を進めたところ、頭部の感覚ニューロンと尾部の介在ニューロン、そして頭部の介在ニューロンで構成される神経回路が温度馴化の促進に寄与することが示唆された。さらに、温度刺激下で上流の温度受容ニューロンから下流の介在ニューロンに実際に情報伝達が行われているのかを、ニューロンの細胞体内カルシウムイオン濃度の増減を指標に明らかにした。その中で、ASJ温度受容ニューロンの温度応答性が低下しているtax-4変異体において、尾部介在ニューロンPVQのの神経活動が低下しており、TAX-4をASJで細胞特異的に回復させることでその異常が回復する結果を得た。また、低温耐性にかかわるASJ以外の温度受容ニューロンであるADLの温度受容能が低下しているTRPチャネルの変異体をそれぞれ用いて、PVQ介在ニューロンの神経活動をカルシウムイメージングで解析した、その結果、ADLからの温度情報はPVQには大きな影響を与えていなかった。さらに、これまでの解析から見つかってきた、低温馴化に異常が見られた神経伝達物質(グルタミン酸)やその受容体の変異体をもちいて、温度刺激を与えた際の低温馴化の神経回路のカルシウムイメージングを行い、低温馴化の神経回路における神経伝達物質として主にグルタミン酸が機能していることが示唆された。以上の結果から線虫の温度順化に関わる全身周回性の神経回路とその活動動態が明らかになった(Motomura et al., PNAS, 2022)。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Neural circuit dynamics and intertissue networks controlling multi-sensing2023

    • 著者名/発表者名
      岡畑美咲, 本村晴佳, 太田茜, 久原篤
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 7 ページ: 80-86

  • [学会発表] earch for novel genes for cold tolerance and temperature acclimation of C. elegans using artificial evolution strain and transcriptome analysis2023

    • 著者名/発表者名
      Seiya Kamino, Haruka Motomura, Kazutoshi Murakami, Atsushi Kuhara, Akane Ohta
    • 学会等名
      分子生物学会
  • [学会発表] 線虫の温度馴化を制御する全身周回性の神経回路と腸の代謝について2023

    • 著者名/発表者名
      本村晴佳, 村上一寿, 五百藏誠, 久原篤, 太田茜
    • 学会等名
      遺伝学会
  • [学会発表] 温度順化を制御する神経回路と腸の脂肪代謝経路の解析2023

    • 著者名/発表者名
      本村晴佳, 村上一寿, 五百藏誠, 久原篤, 太田茜
    • 学会等名
      線虫の未来を創る会
  • [学会発表] Search for novel genes for temperature acclimation and cold tolerance in C. elegans using transcriptome analysis and artificial evolution2023

    • 著者名/発表者名
      Seiya Kamino, Haruka Motomura, Kazutoshi Murakami, Atsushi Kuhara, Akane Ohta
    • 学会等名
      神経科学学会年会
  • [学会発表] Neural circuitry in brain-gut coupling regulates temperature acclimation in C.elegans2023

    • 著者名/発表者名
      Haruka Motomura, Makoto Ioroi, Kazutoshi Murakami, Atsushi Kuhara, Akane Ohta
    • 学会等名
      神経科学学会年会
  • [備考] 所属研究室ホームページ

    • URL

      http://kuharan.com/index.html

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公開日: 2024-12-25  

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