研究課題/領域番号 |
21J01541
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
玉城 福子 沖縄国際大学, 地域文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 性的少数者 / 沖縄 / LGBT / マイノリティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、沖縄の社会的・歴史的な独自性や性規範に着眼し、沖縄の性的マイノリティの生を立体的に描くことである。当該年度の研究の進捗状況は、以下の通りである。 第一に、今後の調査の基盤となる先行研究の整理を行った。近年、社会学の分野でも沖縄における性規範が分析されることもあるが、異性愛規範については十分に検討されていないことが分かった。さらに、国内外で性的マイノリティを対象に質的・量的な調査に基づくセクシュアリティ研究が数多く蓄積されているが、沖縄の性的マイノリティに焦点を当てた実証研究はこれまで行われていない。家族社会学の分野では、沖縄では父系血縁原理が強いことや結婚や子どもを持つことに価値を置く傾向があることが指摘されており、こうした知見を踏まえると、沖縄における性的マイノリティは独自の生き難さを抱えていることが予想される。また、ゲイコミュニティの発展について米軍や観光客との関係にも注目する必要性が見えてきた。 第二に、戦後の沖縄における性的マイノリティの語られ方の変遷を明らかにするために、沖縄においてシェア率の高い地方紙(沖縄タイムス)を対象に性的マイノリティに関連する記事の収集を行った。データベースを利用し、1997年から2021年までを対象に性的マイノリティに関連する27の用語(LGBT、性的少数者、同性愛、トランスジェンダー等)を含むことを基準とし記事を収集した。2385件の記事が該当し、使用される頻度が多かった用語は、「LGBT」697件、「性的少数者」603件、「同性愛」383件である。傾向として、「バイセクシュアル」や「アセクシュアル」を含む記事は少なく、取り上げられるセクシュアリティについて差異が見られた。また、「レズビアン」よりも「ゲイ」という語を含む記事が多いなどジェンダーによる偏りも見られる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
沖縄県では新型コロナウイルス感染症の流行が繰り返されていたことに加え、報告者が妊娠していたため、資料収集等が実施しにくい状況があり、当該年度は当初の計画よりも研究が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
沖縄タイムスの性的マイノリティに関連する記事の収集について、データベース化されていない1948年から1996年までの記事については未収集であり、データの収集が完了してから本格的な整理・分析に取り組む予定である。出産・育児による中断期間も生じるため、2022年度7月以降「研究再開準備支援」と採用期間の延長を利用し、研究の遅れをカバーする。
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