研究課題
惑星形成・進化のメカニズムを理解するため、主にハワイに設置された大型望遠鏡、すばる望遠鏡・ケック望遠鏡と地球大気の影響を補正する補償光学装置を利用して、系外惑星を直接検出する直接撮像法を主軸とした観測的研究を進めている。2022年度は前年度に引き続きカ リフォルニア工科大学において在外研究を進め、両望遠鏡を用いたデータの取得・解析や論文化に関しては順調に進められている。特に惑星の材料となる原始惑星系円盤内に存在する新たな原始惑星の検出に成功し、その中でも申請者がデータ解析を主導するSubaru/VAMPIRESという観測装置において惑星が形成される際に放出される水素輝線Haを検出し、その科学成果が2022年4月にNature Astronomyにて公開された(Currie et al. 2022)だけでなく、数多くのプレスリリースや一般誌において報道された。他にも申請者が主導する観測において、新たな原始惑星系円盤の構造やジェット観測、また星より軽い質量の可能性を示す新たな伴星を発見し、それらの成果を国際ジャーナル誌に論文として公開し、国内・国際研究会にてそれらの成果を発表した。またこれらだけでなく、これまでに進めていた系外惑星サーベイにおいて新たな伴星が直接撮像によっていくつか検出されており、これらの追観測のための観測提案も順次採択されて安定にデータを取得できている。これらの成果に関しての論文投稿は2023年度中に達成できる予定である。
2: おおむね順調に進展している
直接撮像による新規天体や新たな原始惑星系円盤構造の検出は目標成果の一つであり、一年目に得られた成果に引き続き論文化を順調に進められている。またこれらで得られた成果はさらなる惑星探査の議論や他の望遠鏡、例えばALMA望遠鏡やJWST望遠鏡などの観測提案につながっており、現在これらの観測提案を進めている。またRoman望遠鏡やTMT望遠鏡を利用した将来的な観測計画についても2年目後半から順次進めており、2023年度それぞれについて実際に準備を見据えた上のプロジェクトを進めていく予定である。
直接撮像による系外惑星の検出数は他の間接的手法(トランジット、視線速度)と比較して数が少ないものの、パラメータスペース上において異なる性質を持つ惑星に感度が高く、統一的な惑星系に関わるメカニクスの理解には相補的に役割を果たしている。そのため、今後も直接撮像を用いた惑星の検出と、検出された惑星の特徴付けは重要な意義を持つ。保障光学装置や観測装置の発展と共に今後直接撮像によって検出される天体が増えることが期待されるが、申請者が引き続き直接撮像法を用いて新たな天体を検出・特徴づけを進める事で、日本が持つ世界有数の望遠鏡であるすばる望遠鏡のプレゼンスをこれまで以上に高める事が可能となる。 また最新の宇宙望遠鏡であるJWST望遠鏡だけでなく、Roman望遠鏡やTMT望遠鏡などの将来的な望遠鏡を用いた観測準備・観測提案、またサイエンスの議論も進めていく。
すべて 2022 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
The Astronomical Journal
巻: 163 ページ: 204~204
10.3847/1538-3881/ac5742
巻: 163 ページ: 268~268
10.3847/1538-3881/ac67a0
Nature Astronomy
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10.1038/s41550-022-01634-x
The Astrophysical Journal Letters
巻: 934 ページ: L18~L18
10.3847/2041-8213/ac772f
https://etlab.caltech.edu/et-lab-people/taichi-uyama?back_url=%2Fet-lab-people