研究課題
開殻電子構造を持つ発光性ラジカルは、トリアリールメチルラジカルを基本とした分子群で数多く報告されているが、キラリティを有する発光性ラジカルの開拓例は限られている。本研究では、発光性有機ラジカルをキラル集積化し、分子集積構造が明確な系での構造-円偏光発光相関や発光の磁性依存性の解明を目指している。本年度は、エナンチオピュアな発光性ラジカルの分子設計として、光学分割が比較的容易なヘリセン骨格に発光性ラジカル部位を結合した分子群の構築を検討した。まず、アザ[5]ヘリセン骨格を有するラジカル分子を設計し、多段階反応によりその構築を行った。本分子は発光特性を示したが、その光学分割は困難であることが判明したため、ラセミ化反転障壁が大きいアザ[7]ヘリセン骨格を有するラジカル分子の設計・合成検討を行った。一般的なカップリング反応を用いてラジカル部位を連結可能なアザ[7]ヘリセン骨格の構築に成功し、そのキラルHPLC分析から、本分子骨格は光学分割可能であることを確認した。現在、更に合成検討を進め、アザ[7]ヘリセン骨格を有するラジカル前駆体の構築を確認している。
3: やや遅れている
アザ[5]ヘリセン骨格を有する新規発光性ラジカルの構築に成功したが、キラリティと発光の相関の検討には至らなかった。その一方で、光学分割可能と考えられるアザ[7]ヘリセン骨格を有するラジカル前駆体の構築を確認できた。しかし、その前駆体合成に時間を要し、ラジカル化及び円偏光発光特性の検証に至っていないため、やや遅れていると判断する。
アザ[7]ヘリセン骨格を有するラジカル前駆体をラジカル化し、その発光測定を行う。更に、光学分割を行い、エナンチオピュアな発光性ラジカルのキラル集積化と円偏光発光の相関解明に尽力する。
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