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2023 年度 実施状況報告書

ウイルスによる湖沼環境の制御~難分解性有機物とウイルス種組成に着目して~

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ3109
配分区分基金
研究機関立命館大学

研究代表者

沈 尚  立命館大学, 理工学部, 講師

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
キーワード細菌 / ウイルス / 溶菌 / 琵琶湖
研究実績の概要

1年以上にわたって採水した琵琶湖表層のサンプルから、ウイルス感染によって死滅している細菌の推定を試みた。細菌生産量は15N-dAの取り込み法、細菌群集は16S rRNA遺伝子を対象としたアンプリコンシーケンス法、ウイルス群集はショットガンシーケンス法で分析した。その結果、約1,600種の細菌を検出することができた。細菌が最も活発になる時期(水温の高い7月、8月、9月)に19種の細菌が全細菌量の約40%を占め、細菌生産の大部分に寄与している可能性があることが明らかになった。また得られたウイルス種(約13,000種)の宿主を綱(門)レベルで推定した。これらの細菌19種と同じ綱(門)が宿主であると推定されたウイルスに対して共起解析を実施したところ、細菌生産に寄与していると考えられる細菌19種全てに対して、共起するウイルスを少なくとも1種検出できた。このことは、夏季に活性の高い細菌種がウイルス感染によって抑制されていることを示すものであり、”kill the winner” modelを支持するものである。また、深層で優占している細菌とウイルス種の約50%が、調査期間を通して存在していたこともわかった。このことは、深層では”kill the winner” modelとは別の力学が働いている可能性を示唆している。さらに、表層における細菌生産量や環境パラメータ(水温や有機物濃度など)の急激な変化は、細菌群集やウイルス群集のより早い変化に繋がるが、これらの群集変化速度は、毎年、鉛直混合によってリセットされることが明らかとなった。つまり、12ヶ月後には表層と深層で原核生物群集とウイルス群集の変化速度が同程度になる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、琵琶湖において溶菌に関与しうる細菌ーウイルス感染系を推定できたため。

今後の研究の推進方策

最終年度であるため、琵琶湖における溶菌由来DOM量の推定および物質循環全体への寄与について解析を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Virus-prokaryote infection pairs associated with prokaryotic production in a freshwater lake2024

    • 著者名/発表者名
      Shen Shang、Tominaga Kento、Tsuchiya Kenji、Matsuda Tomonari、Yoshida Takashi、Shimizu Yoshihisa
    • 雑誌名

      mSystems

      巻: 9 ページ: -

    • DOI

      10.1128/msystems.00906-23

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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