研究課題
本研究では導電性のRuO2ナノシートにCoをドープすることで室温強磁性を示す導電性ナノシートを開発し、それらを用いて従来のスピントロニクス研究の延長線上にはない、プリンタブルスピントロニクスという新たな研究分野を創生することを目指している。また、プリンタブルスピントロニクスを絶縁体のスピントロニクスまで拡張するべく、「Ca2Nb3O10(CNO)ナノシートを用いたガーネット-ペロブスカイト複合材料の作製とそのマルチフェロイック特性の研究」をアメリカ合衆国のMITにて行い、大きな成果を上げたため、そちらを中心に報告する。ガーネット基板であるGd3Ga5O12(GGG)の基板上に、ペロブスカイト構造をもつCNOナノシートを散布し、その基板上にBi3Fe5O12(BIG)を蒸着することで、GGGの表面上にはガーネット相であるBIGを、CNOの表面上にはペロブスカイト相であるFe-rich BiFeO3をエピタキシャル成長させ、ガーネット-ペロブスカイト複合材料が作製された。この複合材料のマルチフェロイック特性の測定するために、10umの間隔を持つAu/Ti電極を電子線リソグラフィー(EBL)により複合材料表面に作製し、電極間の磁気特性を極カー効果により測定した。極カー効果により得られた面直方向の磁気ヒステリシスループは印加電圧の上昇と共に残留磁化が減少し、電圧印加により磁気異方性が変化することが確認され、ガーネット-ペロブスカイト複合材料はマルチフェロイック特性を持つことが示された。上記の内容に加え、EBLによりGGG基板上にレジストのパターンを作製し、CNOナノシートが付着(プリント)する位置を制御することで、任意の位置にペロブスカイト構造をもつ複合材材料を作製できることも実証し、プリンタブルスピントロニクスを絶縁体のスピントロニクスまで拡張できることを示した。
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ACS Nano
巻: 17 ページ: 12305, 12315
10.1021/acsnano.3c01017