• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

表面弾性波を用いた軌道流の生成と純軌道流によるオービトロニクスの開拓

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ3114
配分区分基金
研究機関東北大学

研究代表者

小泉 洸生  東北大学, 先端スピントロニクス研究開発センター, 助教

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
キーワード磁気異方性 / 軌道角運動量
研究実績の概要

これまでの表面弾性波を用いた研究では室温成膜により多結晶を作製していることがほとんどであったが、本研究の目的の1つである軌道角運動量と局所的な歪の関係を調べるためには、表面弾性波基板上に酸化物をエピタキシャル成長させた方が好ましいと考えられる。しかしながら、酸化物の作製プロセスは高温のものが多いため、表面弾性波基板であるLiNbO3上に直接作製しようとすると、基板のリチウムが拡散してしまい目的の結晶が得られないことが昨年度分かっていた。これを解決するために昨年度様々な緩衝層を試すことで見出した鉄系酸化物が有用であることを見出した。そこで本年度は、緩衝層上に軌道角運動量を有する酸化物磁性体の作製に取り組んだ。
まず、作製した緩衝層のポストアニール耐性を調べると、コバルトフェライトや軌道フェリ磁性体などの酸化物の成膜に必要な高温でも結晶構造を維持していたことから、作製した緩衝層は役割を果たしていると考えられる。次に、これまでにサファイア基板上で確立した成膜条件で緩衝層上に軌道フェリ磁性体の作製を試みたが、良質なエピタキシャル膜を得ることができなかった。結晶構造を調べると緩衝層は上部層作製後でも結晶構造を維持していたため、エピタキシャル膜が得られていないのは、緩衝層上への成膜条件の最適化ができていないためであると考えられる。
これまでの研究により、表面弾性波基板であるLiNbO3基板は、本研究のプロセスに用いることが容易でないことが分かった。そこで表面プラズモンを用いた、スピン・オービトロニクスへと方針を転換する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、表面弾性波を用いたひずみ印加を想定していた。しかしながら、表面弾性波基板であるLiNbO3が、本研究で想定しているプロセスに用いることが容易でないことが分かった。
そこで本年度からは、表面プラズモンを用いる手法へと方針を変えた。この手法では、表面弾性波に比べると印加されるひずみは小さいが、材料選択の幅が格段に広がることが期待できる。
また、近年表面プラズモンポラリトンによるスピン流生成の理論提案もなされており、これに対する軌道角運動量の寄与などに貢献が期待できる。

今後の研究の推進方策

本年度は、昨年度に設計したレーザーによる表面プラズモン生成装置を用いて、様々な磁性体におけるスピン流生成効率を調べる。その中で、種々の磁性体を用いることで、結晶構造、結晶面、軌道角運動量の有無など様々なパラメータを変え、本現象における軌道流生成の可能性を検討する。
加えて、当初の計画であった表面弾性波基板であるLiNbO3上への軌道磁性体のエピタキシャル成長も継続して続け、その可能性を検討する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Magnetic and electric properties of spinel oxide CoV2O4(001) films2023

    • 著者名/発表者名
      Hidaka Atsushi、Koizumi Hiroki、Yanagihara Hideto
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 62 ページ: 053001~053001

    • DOI

      10.35848/1347-4065/acd1c9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Perpendicular Magnetic Anisotropy of an Ultrathin Fe Layer Grown on NiO(001)2023

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Soki、Koizumi Hiroki、Yanagihara Hideto、Okabayashi Jun、Kondo Takahiro、Kubota Takahide、Takanashi Koki、Sonobe Yoshiaki
    • 雑誌名

      Physical Review Applied

      巻: 19 ページ: 064005~064005

    • DOI

      10.1103/PhysRevApplied.19.064005

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Antiferromagnetic Films and Their Applications2023

    • 著者名/発表者名
      Hirohata Atsufumi、Lloyd David C.、Kubota Takahide、Seki Takeshi、Takanashi Koki、Sukegawa Hiroaki、Wen Zhenchao、Mitani Seiji、Koizumi Hiroki
    • 雑誌名

      IEEE Access

      巻: 11 ページ: 117443~117459

    • DOI

      10.1109/access.2023.3326448

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Quadrupole anomalous Hall effect in magnetically induced electron nematic state2023

    • 著者名/発表者名
      Koizumi Hiroki、Yamasaki Yuichi、Yanagihara Hideto
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 ページ: 8074~8074

    • DOI

      10.1038/s41467-023-43543-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] NiCo2O4薄膜における磁気トロイダル四極子と異常ホール効果2023

    • 著者名/発表者名
      小泉 洸生、山崎裕一、柳原 英人
    • 学会等名
      物理学会 第78回年次大会
  • [学会発表] NiCo2O4薄膜における磁気トロイダル四極子と異常ホール効果2023

    • 著者名/発表者名
      小泉 洸生、山崎裕一、柳原 英人
    • 学会等名
      第47回日本磁気学会学術講演会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi