研究課題/領域番号 |
21J00894
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
藤田 雅也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別研究員(PD) (50923471)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 外膜トランスポーター / リグニン |
研究実績の概要 |
今年度は、当初の予定通り、大腸菌で封入体として発現させ、refoldingにより精製した2種類の細菌外膜タンパク質の、200 kVクライオ電顕を用いた単粒子解析を行った。タンパク質濃度や界面活性剤の検討により、15オングストロームほどの分解能ではあるが、大まかな構造を明らかにすることができた。しかし、これらトランスポーターの輸送メカニズムの解明に十分な分解能ではないため、今後は300 kVのクライオ電顕を用いた高分解能なデータセットの取得を試みる。クライオ電顕による単粒子解析と並行して、KEKの結晶化ロボットを用いた結晶化スクリーニングも行った。その結果、1つのタンパク質の結晶化条件を明らかにすることができた。取り込みに必要なその他のcomponentについては精製が完了しているため、今後、外膜タンパク質との共構造を解析やITC解析により、詳細な輸送メカニズムを明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症流行の影響があり、前半は在宅勤務が多かったものの、目的のタンパク質の精製と結晶化、単粒子解析での概形の観察は達成している。以上に加えて、当初の計画には含まれていなかったが、細菌の内膜で芳香族化合物を取り込むトランスポーターの精製および結晶化にも成功しており、今後は別のプロジェクトで、これらのトランスポーターについても構造解析を行い、詳細な輸送メカニズムを明らかにする予定である。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、構造解析に十分な質の結晶を得るために、結晶化条件の最適化を検討する。クライオ電顕単粒子解析や結晶化スクリーニングにより、良好な結果が得られているため、来年度での構造決定が可能であると考えている。上記に加えて、等温滴定型熱量測定 (ITC)を用いた、外膜タンパク質と基質との相互作用解析を行った。本研究で扱うファミリーに属するタンパク質の基質との相互作用で発生する熱は、微弱であることが知られており、今後はbufferのミスマッチを軽減するために、透析やnanodiscへの再構成を検討する予定である。
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