研究課題/領域番号 |
21J00903
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
岩井 遼斗 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 新物理 / 荷電レプトン数 / ミューオニウム / レーザー / ビーム物理 / X線検出器 |
研究実績の概要 |
2022年1月より開始した本研究は素粒子標準理論で厳しく禁止されているミューオニウムー反ミューオニウム変換事象を、J-PARCにおける大強度パルスミューオンビームを用いて史上最高感度で探索するものである。スイスPSIにおける先行実験では正ミューオン崩壊に起因する背景事象で実験感度が大きく制限されていた。そこで本研究では反ミューオニウムをパルスレーザーでイオン化し、負ミューオンを輸送・直接検出する。本年度ではまず、負ミューオンの輸送ビームラインのシミュレーションを準備した。これによりビーム由来の背景事象や、負ミューオンの検出効率の評価が可能となった。また負ミューオンを物質で捕獲し、放出される特性X線を検出する方法を複数考案した。さらに実験装置内に電磁場が存在すると、ミューオニウムのエネルギーがシフトして変換事象が抑制される。このため素粒子理論を専門とする共同研究者と議論を行い、理論・実験の両面からの装置開発の最適化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は新型コロナに関する特例措置を受けたことにより2022年1月より開始した。3ヶ月間で実験の設計及び最終到達感度の評価に必要なシミュレーション(反ミューオニウムからレーザーイオン化された負ミューオンを検出器へ輸送する部分)を準備することができた。さらに本実験の探索事象では、ミューオニウムが束縛系(正ミューオンと電子)であることに起因し、電磁場によるエネルギーシフトが変換を抑制するという特有の問題がある。この影響を見積もり最小限に抑えることは、レーザーや電磁石を使う本実験では必須であるため、素粒子理論を専門とする共同研究者との議論を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後はシミュレーションを用いて負ミューオン輸送部の設計、及び負ミューオンを直接検出する装置を開発する予定である。またビーム由来の背景事象、及び電磁場の影響を考慮した最終到達感度を算出する。
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