本年度はミュオニウム―反ミュオニウム変換事象を捉える手法開発に向け、ミュオニウムの精密分光の手法開発を行った。2024年に円筒形マイクロ波キャビティと外部磁場1.7 Tを用いた最初の実験が計画されており、そのために必要なマイクロ波システムやビーム輸送部を整備した。さらに将来的に実験の精度を向上させるため、箱型マイクロ波キャビティを導入して最大外部磁場強度(2.9T)で実験を行うこと提案した。箱型マイクロ波キャビティは主に電磁場シミュレーションを用いて設計を行い、溶接技術を用いた制作手法も確立し た。実際に製作した箱型キャビティの周波数特性を測定、シミュレーションと比較することによって性能を評価した。この結果より箱型キャビティの周波数モードがミュオニウムの精密分光で利用できることを初めて示した。さらに2.9Tにおける分光実験全体のシミュレーションを構築し、十分な統計精度を得られることを示した。以上の結果は論文にまとめられて投稿された。
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