本研究は、社会的交流の認知機能低下の予防可能性に着目し、超高齢社会における認知機能の維持に向けた予防的介入手法の開発とその効果検証を目指す研究である。具体的に、遠隔会話介入アプリケーションの開発とその認知機能保持への効果評価を行い、①遠隔会話介入アプリケーションの開発、②ランダム化比較試験による遠隔会話介入アプリケーションの認知機能保持への効果測定、③ユーザビリティ検証、の三点を柱に、超高齢社会における認知残存機能の維持に向けた予防的介入手法の開発とその効果検証を実施する。 2022年度の研究実績として、会話アプリケーションを用いた12週間のランダム化比較試験(試験名:PICMOA trial)を完遂した。本トライアルでは、全体への効果が得られなかったものの、特性別の解析でスマートフォンに親和性がある層に対して語彙流暢性機能の維持への効果が示唆された。一方、介入実施全体を通して、高齢者のスマートフォンの親和性やデジタル介入の心理的侵襲、中長期期間の介入実施の必要性などのユーザビリティ面や研究デザイン面での課題が得られた。そこで、本年度の試験を通して得られた課題を解決するため、高齢者が使いやすいようシステム仕様をスマートフォンではなくタブレット型とし、画面の大きいタブレットを用いて中期6ヶ月間の会話介入を行うランダム化比較試験(試験名:PICMOA-2 trial)を追加計画し、2023年度実施する予定である。
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