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2023 年度 実施状況報告書

遠隔臓器での乳がん細胞の休眠維持と再発転移を誘発する遺伝子発現制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ3140
配分区分基金
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

峯岸 美紗  国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
キーワード再発転移 / 休眠がん細胞
研究実績の概要

原発巣から離れ、遠隔臓器内で休眠状態にある休眠がん細胞は、遠隔臓器での再発転移を引き起こす原因となる。しかし、休眠がん細胞の生体内での希少性や複雑性により、休眠状態の維持や周辺環境の変化に応じた再増殖への状態遷移を制御する分子機構は、まだほとんど解明されていない。本研究では、乳がん細胞株を使用し、休眠を介した再発転移を長期間観察できる実験系を構築。がん細胞とその周辺微小環境に存在する間質細胞の遺伝子発現を解析し、がんの再発転移を制御する分子機構を多角的に解明することを目指している。
昨年度、解析対象となるがん細胞株を選定した際に、細胞によって状態遷移のパターンに不均一性があることを発見し、生体内での複雑な環境下での再発転移機構を詳細に分析する必要性を感じた。そこで本年度は、がん細胞の周囲の微小環境の物理化学的特性に焦点を当て、生体外でのがん細胞の状態遷移を大規模に、かつ経時的に解析できる実験系の開発を試みた。微小環境の力学的制約を模倣し、遺伝子発現の解析と組み合わせることで、がん細胞の状態遷移を大規模に解析できる実験系を構築した。力学的制約だけでなく、低酸素や低栄養環境にも適用し、制御環境下での状態遷移を制御する分子機構の解明に取り組んでいる。また、並行して、生体内での休眠を介した再発転移を長期的に観察できる実験系の構築も進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度、がん細胞の状態遷移過程における細胞の不均一性を確認した。そこで、生体内での再発転移機構を解析する前に、がん細胞とその周辺微小環境下での状態遷移を生体外で大規模に解析する必要性を認識した。そのため、研究計画は当初の予定よりも遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

本年度は、(1)新たに構築した生体外での細胞状態遷移の大規模かつ経時的な実験系を用いて、転移したがん細胞の周辺微小環境の物理化学的性質が及ぼす休眠を含む細胞状態の多様性を制御する分子機構を明らかにする。加えて、(2)生体内の複雑環境下でがん細胞の休眠を介した再発転移を誘発する分子機構をがん細胞とその周辺に存在する間質細胞を解析することで明らかにする。(1)と(2)を並行して進めることで、休眠維持と再発転移を誘発する分子機構の包括的な解明を目指す。
(1)では、生体を模倣した微小細胞外基質を用いて、がん細胞周辺環境が細胞状態に与える影響とその不均一性を探ることで、がん細胞が受ける微小環境的性質による休眠状態制御機構と再発機構の理解を目指す。(2)においては、生体内でのがん細胞を非侵襲的に観察し、がん細胞近接細胞蛍光標識技術を用いることで、休眠状態にあるがん細胞とその周辺細胞の解析を実現する。これにより、転移したがん細胞の微小環境を構築する細胞の役割と、細胞間相互作用の詳細を解明する。

次年度使用額が生じた理由

試薬の調達が遅れたため、来年度に使用予定

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (5件)

  • [雑誌論文] Secretory GFP reconstitution labeling of neighboring cells interrogates cell-cell interactions in metastatic niches2023

    • 著者名/発表者名
      Minegishi,M.,Kuchimaru,T.,Nishikawa,K.,Isagawa,T.,Iwano,S.,Iida,K.,Hara,H.,Miura,S.,Sato,M.,Watanabe,S.,Shiomi,A.,Mabuchi,Y.,Hamana,H.,Kishi,H.,Sato,T.,Sawaki,D.,Sato,S.,Hanazono,Y.,Suzuki,A.,Kohro,T.,Kadonosono,T.,Shimogori,T.,Miyawaki,A.,Takeda,N.,Shintaku,H.,Kizaka-Kondoh,S.,Nishimura,S.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 ページ: 8031

    • DOI

      10.1038/s41467-023-43855-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A large-scale analysis of dormant cancer cells under mechanical confinement by micro-hydrogel2024

    • 著者名/発表者名
      Keiji Nozaki, Misa Minegishi, Kaori Nishikawa, Hirofumi Shintaku
    • 学会等名
      Serendipity Symposium 2024
    • 国際学会
  • [学会発表] Microgels for a large-scale screening and longitudinal observations of cancer cell dormancy2023

    • 著者名/発表者名
      Misa Minegishi, Hirofumi Shintaku
    • 学会等名
      The 27th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences (microTAS 2023)
    • 国際学会
  • [学会発表] がん細胞の休眠-増殖状態遷移の大規模スクリーニングを実現する実験系の構築2023

    • 著者名/発表者名
      峯岸 美紗
    • 学会等名
      第7回 転移シグナル若手研究会
  • [備考] 疾患の原因となる細胞間相互作用を見えるようにする蛍光技術

    • URL

      https://www.riken.jp/press/2023/20231212_2/index.html

  • [備考] [医学研究科]疾患の原因となる細胞間相互作用を可視化する蛍光技術

    • URL

      https://www.jichi.ac.jp/news/research/2023121102/

  • [備考] 疾患の原因となる細胞間相互作用を見えるようにする蛍光技術

    • URL

      https://www.titech.ac.jp/news/2023/068063

  • [備考] 疾患の原因 細胞間相互作用を可視化 自治医科大など 新たな蛍光技術開発 がん転移関与タンパク質同定

  • [備考] 疾患の原因となる細胞間相互作用を見えるようにする蛍光技術

    • URL

      https://research-er.jp/articles/view/128848

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公開日: 2024-12-25  

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