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2023 年度 実績報告書

顎骨骨髄炎の新たな疾患概念の確立とバイオマーカーに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ3160
配分区分基金
研究機関国立研究開発法人国立国際医療研究センター

研究代表者

矢原 寛子  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, ゲノム医科学プロジェクト, 特別研究員(RPD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワード顎骨骨髄炎 / バイオマーカー / RNA-Seq / メタゲノム / 微生物叢
研究実績の概要

全身の骨髄炎の中でも、顎骨に発生するものには、細菌性の感染症と、非細菌性で自己免疫性の病態が混在しており、その違いを分子レベルで探索する研究に取り組んでいる。これまでに、骨髄炎の遺伝的背景としてのHLA/KIR領域の遺伝多型や、全血RNA-Seqデータによる遺伝子発現の違いを調べ、結果を報告してきた。そのnext stepとして本年度は、発症の引き金となり得る、患者に特徴的な微生物叢が存在するかどうかを明らかにしたいと考え、研究を進めた。
昨年度まで実施した先の研究で血液検体の採集と同時に採取した唾液検体からbulk DNA抽出を行い、ショットガンメタゲノム解読を行った。非細菌性骨髄炎10サンプルと細菌性骨髄炎5サンプル、健常者5サンプルを、1サンプル10Gb以上の厚みで解読した。
データ解析の結果、存在量に有意な群間差のあった菌種は4菌種で、そのうち細菌性骨髄炎で有意に増えている細菌は、Mogibacteriumのみであった。一方、非細菌性骨髄炎で有意に増えている細菌はなかった。細菌の存在量の指標を2つ(sequence abundanceとtaxonomic abundance)計算して比較したところ、Mogibacteriumはどちらでも同様の結果を示した。一方で、これまでに口腔内及び顎骨の感染症と関係すると言われ、骨髄炎でも多く報告されてきたActinomycesは、2つの指標の乖離が大きく、解釈に注意が必要だと分かった。また、今回見つかったMogibacteriumを含む47細菌属は従来、健常者の唾液微生物叢の中に見つかっていない菌であり、Mogibacteriumが疾患に特異的に関連する菌であることを示唆していた。
以上の結果をまとめた論文が国際誌にアクセプトされ、口腔外科学会では優秀賞を受賞した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Shotgun metagenomic analysis of saliva microbiome suggests Mogibacterium as a factor associated with chronic bacterial osteomyelitis2024

    • 著者名/発表者名
      Yahara Hiroko、Yanamoto Souichi、Takahashi Miho、Hamada Yuji、Asaka Takuya、Kitagawa Yoshimasa、Moridera Kuniyasu、Noguchi Kazuma、Maruoka Yutaka、Yahara Koji
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 19 ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0302569

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Shotgun metagenomic analysis of oral microbiome related to osteomyelitis of the jaw2023

    • 著者名/発表者名
      矢原寛子, 柳本惣市, 高橋美穂, 濱田裕嗣, 坂本春生, 浅香卓哉, 北川善政, 森寺邦康, 野口一馬, 丸岡豊
    • 学会等名
      日本口腔外科学科総会

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公開日: 2024-12-25  

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