研究課題/領域番号 |
21J01171
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
矢澤 亜季 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 臨床研究センター 疫学予防研究部, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
キーワード | ソーシャルキャピタル / 幼少期の逆境体験 / 低中所得国 / ベトナム / 心血管疾患 |
研究実績の概要 |
本研究は、ベトナム農村部における非感染性疾患のリスク要因を探究することを目的に、研究A:ベトナム農村部におけるソーシャルキャピタルと肥満・高血圧・糖尿病・抑うつの関連を明らかにする、研究B:幼少期の逆境環境がどの程度成人期のソーシャルキャピタルを介して健康を決定するか明らかにするという2つのテーマを設定している。2019~20年にベトナム南部で実施したカインホア心血管疾患コホート研究(KHCS)のベースラインデータを用いて、以下の横断研究を実施した。 1.ベトナム戦争において200万人もの民間人が犠牲となった結果、参加者の二割が幼少期に両親との離別体験を有すことがわかった。統計解析の結果、特に3歳未満にそうした経験をした人でやせの割合が多いことが示された。American Journal of Human Biology誌に掲載され、掲載号におけるEditor’s Choice of the Issueに選出された。 2.留学先であるハーバード大学において、共著者らと共に幼少期における両親との離別経験と成人期の心血管疾患との関連に関するシステマティックレビューを実施した。本研究はPsychoneuroendocrinology誌に掲載された。 3.ソーシャル・キャピタルとBMI、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームとの関連を検討した。その結果、認知的ソーシャル・キャピタルが高い群で過体重+肥満、メタボリックシンドロームが少ない傾向が観察された。現在論文化を進めている。 上記の他、留学先にてアクセスが可能なデータを用いた論文の執筆も含め、2022年度は10報の論文が受理された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上述の通り、カインホア心血管疾患コホート研究(KHCS)のデータを用いた分析及び論文化は進んでいる。さらに、留学先であるハーバード大学に おいてアクセスのあるデータの解析及び論文化も進み、2022年度は2022年度は10報の論文が受理された上、他にも執筆中の論文が複数ある。 フォローアップ調査に関しては2023年に実施する予定で、質問紙の作成や関係機関との調整、追加の倫理審査など、必要な準備を進めており、研究計画は順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である2023年度は、日本に帰国し国立国際医療研究センターにて研究を進める。予定通り、論文化を進めるとともに、フォローアップ調査を実施する。また、これまでの研究成果をまとめ、学会で発表する。今後もベトナムでの研究は続くので、しっかりと調査対象者へのフィードバックを行い、ベトナムの研究者とも関係性をさらに構築し、双方の研究が発展し、人材育成にもつながるよう心がける。
|