研究課題/領域番号 |
22J01498
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
江藤 太亮 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 概日リズム / 瞳孔 / 水晶体 / メラトニン / 光 / 用量反応曲線 / 個人差 / 光感受性 |
研究実績の概要 |
本研究では、個人の体内時計の光応答性(メラトニン分泌の光抑制作用)を推定しうる指標ならびに推定方法を探索することを目的としている。推定の目的変数であるメラトニン分泌の光抑制作用を正確に測定するために、本研究では同一個人に対して複数の光条件におけるメラトニン分泌抑制を観測することで、メラトニン抑制作用の用量反応曲線を描く。メラトニンの用量反応曲線を個人ごとに描いた研究はコーカシアンを対象としたものは1例報告があるが、アジア系を対象とした研究は報告がなく、最適な光条件の探索が必要であった。 本年度は、メラトニン抑制作用の用量反応曲線を描くための最適な光条件を設定するための実験を複数被験者に対して実施した。実験に向けて、光曝露を各被験者に対して正確に実施するための光曝露ゴーグルの作成や推定するための説明変数である瞳孔径や瞳孔の対光反射を測定するためのシステム構築も行った。被験者は、計4回実験室を訪れ、様々な光条件の中で唾液が採取された。4回の実験室実験の光条件はそれぞれ、Dark(照度 < 1lx)、20 lx、200 lx、2000 lxのいずれかであった。唾液採取セッション以外の時間で、PIPRや水晶体光透過率の測定を実施し、採取された唾液サンプルはRIA法によって定量した。 実験の結果、当初予定していた光条件では強度が足りない可能性が示唆された。予定の光条件はコーカシアンを対象とした先行研究を参考にしたが、日本人のようなアジア系では光感受性がコーカシアンに比べて低い可能性がいくつかの研究で指摘されており、このことが影響したと考えられる。その他、本研究でも使用する水晶体の光透過率測定装置に関する講演を行い、関連研究の成果を国際、国内学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定装置の構築や開発、RIA法実施のための環境構築などに想定以上に時間を要したが、最適な光条件を設定するための実験実施まで達成することができた。これにより、当初予定していた光条件では強度が足りないことや、その他の周辺装置の技術的問題などが明らかになった。問題点はあったものの、実験の実施および解析までの一連の流れを確認できたとともに、最適な光条件設定に向けたデータを取得できたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
実験によって明らかになった問題点を改善し次第、動作確認を行い、本実験を開始する。被験者が目標人数に達すれば、まずは、各測定指標とメラトニン抑制との関連性について検討する。その後、メラトニン抑制を推定するモデル式を探索するための解析に移行する。
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