研究課題/領域番号 |
22KJ3166
|
配分区分 | 基金 |
研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
江藤 太亮 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
キーワード | 概日リズム / 瞳孔 / 水晶体 / メラトニン / 光 / 個人差 / 光感受性 |
研究実績の概要 |
本研究では、個人の体内時計の光応答性(メラトニン分泌の光抑制作用)を推定しうる指標ならびに推定方法を探索することを目的としている。 目的変数であるメラトニン分泌抑制量を推定するための説明変数として、メラノプシン由来の瞳孔反応(post-illumination pupil response: PIPR)を導入することを検討していた。メラノプシンは、概日リズムの光調節作用やメラトニン分泌の光抑制作用などの光の非視覚的作用に主立って寄与すると考えられている視物質で、網膜内の神経節細胞に発現する。PIPRを正確に測定することは、本研究の目的である個人の体内時計の光応答性の推定精度を高めることになるため、本年度は、PIPRを光に対する瞳孔反応を正確に測るための光学システム(Maxwellian-view system: MV光学系)の構築に取り組んだ。 並行して、推定の説明変数の一つであるクロノタイプ(朝型/夜型)を簡便に測定する方法についても検討した。クロノタイプは朝型夜型質問紙(Morningness-Eveningness Questionnaire)と呼ばれる主観報告で評価されることが一般的であるが、従来のMEQは質問項目が19項目あり、回答の負担が大きかった。そこで、質問項目を5項目に減らしたreduced-MEQ(rMEQ)の日本語版を作成し、バリデーションを行った。その結果、他言語版のrMEQと同等の妥当性・信頼性が確認された。rMEQ日本語版に関する研究成果は査読付き論文として公開されている。 その他、本研究でも使用する水晶体の光透過率測定装置に関する講演を行い、関連研究の成果を国内学会で、発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目的変数となるメラトニン分泌抑制を測定するための実験が、人的なリソース不足により実施できていない状況にある。一方で、説明変数となる光に対する瞳孔反応PIPRを正確に測定するための光学系を構築し、また、こちらも説明変数となるクロノタイプ(朝型/夜型)をより簡便に測定するためのrMEQの開発を行った。推定のための目的変数が測定できていない点で、当初の予定より遅れが見られるが、説明変数となる指標の改良が進められていることから、やや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
目的変数となるメラトニン分泌抑制のデータを、他研究機関との協力も視野に入れながら取得する。その後、水晶体の光透過率や瞳孔反応、クロノタイプなどの変数によって、体内時計の光応答性(メラトニン分泌の光抑制)を推定するモデル式を探索するための解析を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
メラトニン分泌の抑制実験での被験者謝金に使用予定だった分が、実験が実施できなかったために次年度使用額として残っている。次年度に実験を実施し、使用する予定である。
|