研究課題
2023年度はこれまで知見が乏しかった熱帯・亜熱帯域の深海および海洋島におけるウバウオ科魚類の多様性および分布状況を明らかにするため、それぞれパプアニューギニアの深海域およびフレンチポリネシアから得られた多くの標本が収蔵されているスミソニアン自然史博物館(アメリカ)、テキサスA&M大学(アメリカ)、国立台湾大学(台湾・台北)、ニュージーランド国立博物館(ニュージランド・ウェリントン)、および西オーストラリア州立博物館での標本調査を実施した。その結果、熱帯・亜熱帯域の深海におけるウバウオ科ではこれまで5種が知られていたヨザクラウバウオ属に形態・遺伝的に識別できる多数の未記載種が含まれていることが明らかとなり、本属の多様性はこれまで考えられていた以上に高いことが判明した。また、各種は異所的に分布し、それぞれの分布範囲はひじょうに狭いことが明らかになりつつある。海洋島におけるウバウオ科では同様に少なくとも2未記載種が確認され、さらにこれらの種はそれぞれ既知のいずれの属の特徴にも当てはまらないことから、さらなる研究を進めている。この他、前年度から引き続き、インド・太平洋産のウバウオ科各属を中心にマイクロCTスキャンと透明骨格標本の解剖に基づく、内部形態のデータ収取を行っており、本年度までで21属39種(インド・太平洋産のウバウオ科各属のおよそ6割)のデータが得られている。すでに十分な知見が得られている分類群については2つの国際学会において発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
本年度に訪問を予定していた海外の研究機関に訪問することが出来、これまで知見が乏しかった海域におけるウバウオ科の標本を観察出来ているため。
これまでの研究活動により、インド・太平洋産のウバウオ科魚類の分類学的問題はほぼ解決しつつある状況であるため、今後は分類学的に整理された情報に基づき、各分類群の系統関係を明らかにする。
消耗品の購入が本年度内に間に合わなかったため、次年度使用額が生じた。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
Vertebrate Zoology
巻: 74 ページ: 279~301
10.3897/vz.74.e113955
The University Museum, The University of Tokyo Material Reports
巻: 132 ページ: 191~196
Ichthyological Research
巻: - ページ: -
10.1007/s10228-024-00951-7
10.1007/s10228-023-00938-w
Ichthy, Natural History of Fishes of Japan
巻: 35 ページ: 5~9
10.34583/ichthy.35.0_5
巻: 31 ページ: 19~23
10.34583/ichthy.31.0_19