研究課題/領域番号 |
22KJ3195
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
萩原 雄貴 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 流体包有物 / かんらん岩捕獲岩 / ラマン分光法 |
研究実績の概要 |
今年度は,ラマン分光分析による流体包有物の密度や組成の定量分析を行う際に,ある分析条件下で到達できる定量分析の精度を評価するため,強度,ピーク位置,バンド幅などの様々なスペクトル特性について測定精度の限界を定義する解析解を導出した.これらの解析解を利用すると1点しかデータが無い場合でも,分析の不確定性の下限値を理論的に計算可能である.そして,得られた解析解を基に,「スペクトルパラメータの推定精度」と「装置の性能」を結びつける理論的基盤を確立した.この理論的枠組みにより,装置のアップグレードによるスペクトル特性の推定精度がどの程度向上するかを見積もることができ,研究者が測定精度を戦略的に向上させるための実用的な指針となる. 更に,この理論をエリアやエリア比の測定にも拡張し,分析化学の広い分野で40年以上続いてきた「強度比と面積比はどちらが高精度か?」という疑問を理論,シミュレーション,実験を組み合わせた手法により解明した.本研究により,面積比測定の精度が強度比測定の精度を√2倍上回ることを解析的に実証し,この長年の論争に決定的な答えを与えた. これらの研究成果の中心となる理論・シミュレーション・実験手法については,Hagiwara et al. (2023)として既に出版されている.本研究課題では一ノ目潟のマントル捕獲岩中の流体包有物のCO2のδ13Cの測定を一つの目的としているが,Hagiwara et al. (2023)ではラマン分光法によるCO2のδ13C測定法の精度について議論している.Hagiwara et al. (2023)の内容について日本地球惑星科学連合2023年大会にて口頭発表を行った.また,関連論文2報が現在査読を受けている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2024年度に予定していたマントル捕獲岩中の流体包有物の揮発性元素の希ガス・炭素同位体比測定の予備的な破砕実験を2023年度中に完了することができ,最適な分析条件を制約することができた.従って,2024年度の本格的な分析へスムーズに移行できる.一方,EPMAによる化学組成の分析がまだ完了していない.従って,2024年度も継続してEPMAの分析を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究計画には大きな変更は無い.従って,マントル捕獲岩中の流体包有物中の希ガス・炭素同位体比の測定を中心に研究を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
前倒し支払いにより2023年10月に顕微鏡を発注予定で手続きを進めていた.しかし,「研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業」にあたりJAMSTECから変更交付申請書を提出する必要があったが,前倒し申請をしているとこの変更交付申請書を作成できず前倒し申請はJSPSから差し戻されてしまうことが判明した.次の前倒し申請である12月では年度内の納品が困難なため,発注を次年度にしなければいけなかった.従って,次年度使用額が生じた.
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