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2023 年度 実施状況報告書

陸成炭酸塩のレアアイソトープを用いた新規化学指標の開発と始新世アジアの古気候復元

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ3198
配分区分基金
研究機関東京大学

研究代表者

佐久間 杏樹  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
キーワード炭酸塩 / 中赤外レーザー分光装置 / レアアイソトープ
研究実績の概要

陸域における古気候記録の定量的な復元は、年代モデルの構築の難しさや信頼できるプロキシが少ないといった問題点があり、海洋記録の研究に対して限られている。最近では、中赤外レーザー分光装置の開発によって、質量数が同じ同位体の測定は原理的に難しい従来の質量分析計では測定が困難だった、炭酸塩の17O存在度異常が測定できる可能性が示された。炭酸塩の17O存在度異常は、湿度と相関している可能性が先行研究で示されており、陸域における新たな古気候プロキシとなりうると期待される。本研究では中赤外レーザー分光装置を用いた炭酸塩のレアアイソトープである17O存在度異常の測定手法を確立し、17O存在度異常と湿度の関係について検証を目指す。
本年度は前年度に引き続き、中赤外レーザー分光装置を用いた17O存在度異常の測定手法の改良実験に加えて、湿度との関係を検証するための現世炭酸塩試料の採取、記載に取り組んだ。前年度に南オーストラリアにて調査と採取を行った現世土壌成炭酸塩について、薄片や電子顕微鏡を用いた組織観察、鉱物種の鑑定、酸素・炭素同位体比の分析などを行った。土壌成炭酸塩は沈殿速度や沈殿メカニズムなどにばらつきが大きく、17O存在度異常と湿度の検証を行うためには、試料数を増やすなどの改善が必要であることが分かった。さらに、土壌成炭酸塩試料に加えて、昨年度はモンゴル南部ゴビ砂漠付近において湖成炭酸塩試料を採取しており、湖成炭酸塩を用いた測定の準備も進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

中赤外レーザー分光装置を用いた17O存在度異常の測定については、共同研究者が酸素・炭素同位体比の測定手法を確立したことで、高精度な測定が可能になる期待が高まった。一方で、17O存在度異常と湿度の関係の検証に用いる予定で採取をした、現世土壌成炭酸塩試料の堆積構造の観察や酸素・炭素同位体比分析などを行ったところ、沈殿年代の曖昧さや微小な地形などの影響が同位体比に大きく影響を与えている可能性が分かった。今後は、17O存在度異常の湿度に対する挙動の検証に用いる予定の試料として、土壌成炭酸塩だけではなく湖成炭酸塩等、様々な種類の陸成炭酸塩を積極的に検討する必要があると考えられる。

今後の研究の推進方策

最終年度となる今年度は、17O存在度異常の測定手法の改良を集中的に行い、天然試料の測定を目指す。昨年度の実験で改善された酸素・炭素同位体比の測定プログラムを用いて、試料の量や窒素ガスでの希釈率などの条件を変化させて測定を行い、17O存在度異常に対して最適な条件を調べる。並行して、17O存在度異常の挙動を調べるために用いる、蒸発環境で沈殿する陸成炭酸塩試料の採取をアメリカ西部やモンゴル南部の塩湖を中心に行う。採取した陸成炭酸塩試料については、組織観察や元素・鉱物分析などを行い、試料の状態について調べる。

次年度使用額が生じた理由

論文出版にかかる英文校閲などの費用を計上したが、分析項目の追加や変更があったため、出版に間に合わなかった。次年度以降、英文校閲費用や出版費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] 国立台湾大学(その他の国・地域)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      国立台湾大学
  • [学会発表] 南オーストラリアに分布する現世土壌成炭酸塩の産状2023

    • 著者名/発表者名
      佐久間 杏樹、村田 彬、高島 千鶴、狩野 彰宏
    • 学会等名
      日本地質学会第130年学術大会

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公開日: 2024-12-25  

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