研究課題/領域番号 |
22KJ3199
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
岸 正敏 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 微細藻類 / アンモニア / 蛍光 / モニタリング / クロロフィル蛍光誘導期現象 / 資源循環 / 排水 / 廃棄物循環 |
研究実績の概要 |
排水に高濃度で含まれるアンモニアは、藻類の良好な栄養源になりうるが、高濃度で増殖を阻害する。本研究ではクロロフィル蛍光による藻体活性モニタリングに基づいたアンモニア供給制御によるアンモニア毒性の回避を目指している。しかし、クロロフィル蛍光で検知できるアンモニア毒性が回復可能な程度かどうか、またアンモニア毒性以外の異なる増殖阻害(e.g., 強光、高温)との区別が可能か、などの懸念が存在する。 そこで2023年度は、(1) 3種藻類のアンモニア毒性からの回復特性評価と、(2)複合阻害条件でのクロロフィル蛍光特性解析の2つを行った。 回復特性評価において、藻類株には、緑藻Chlorella vulgaris SAG 211-11b、緑藻Acutodesmus obliquus SAG 276-3a、およびシアノバクテリア Arthrospira platensis SAG 21.99の3種を用いた。アンモニア濃度を5条件設け、温度25°C、光量子束密度100 μmol photons m-2 s-1で13.5時間暴露させた。その後、遠心分離または自然ろ過により藻体を回収してNH3無添加培地で洗浄後、回収藻体を同培地で培養し、各種蛍光パラメーター、光学密度、pHを測定した。その結果、全3種の藻類において、NH3添加直後とNH3除去直後の数分の間にそれぞれ蛍光パラメーターの急激な変化が見られ、クロロフィル蛍光が迅速にアンモニア毒性状態を反映することが示唆された。増殖速度もほとんどの条件でNH3除去後数時間後に回復が確認されたが、一部の高NH3条件では回復遅延や完全な回復に至らないケースが見られた。これらの結果から、蛍光によるNH3毒性の検知可能域は阻害回復域よりも遥かに低く、蛍光により回復可能域を判定しアンモニア制御を行える可能性が支持された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験環境整備に時間がかかり、一部の実験が実施できなかった。一方で、整備後の進捗は順調であり、次年度内の目標達成を見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は多種阻害判別の実験継続実施と、多変量解析を用いた判別法の開発、およびNH3供給制御実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度使用した共同研究機関への機器輸送費が変動したため、次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせて、学会発表旅費および物品購入に用いる。
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