研究課題
本研究は、長期にわたる臼歯の喪失や軟食飼育が脳に及ぼす影響、特に視床下部と海馬について、同一環境下で育成された若齢及び老齢マウスの抜歯群と非抜歯群、軟食飼育群と固形飼育群を比較解析することで、歯の喪失とアストログリオーシスの因果関係を免疫組織化学的、分子生物学的及び行動学的に明らかにすることを目指した。また、両グループのマウスにおける行動の変化が視床下部や海馬の老化関連分子の発現に及ぼす影響も調べた。これらの解析を通じて、歯の喪失や軟食飼育が脳の老化につながる可能性を示し、咀嚼の重要性と歯の補綴の必要性に関する結果を得た。3年目となる本年は、追試実験と研究成果の論文発表を予定していた。1、2年目の実験が順調に進んだため、3年目は追試ではなく、研究成果の論文発表に重点を置き、さらに研究から派生した新たな課題に注力した。研究結果から、長期にわたる軟食摂取が若齢マウスの運動・認知機能を低下させるが、固形食に切り替えることで機能を回復できること、また、カプサイシンが抜歯による機能低下を改善し、海馬の老化関連分子の状態を改善することが示された。アルツハイマーノックインマウスの上顎臼歯抜歯により、認知機能、運動機能の著しい低下、攻撃性の増大が見られた。若齢マウスにおいては、上顎臼歯抜歯により眉間部に若白髪が萌出することがあきらかとなった。これにより、2報の論文報告、その他付随する5報の論文、計7本を発表し、咀嚼と食形態の重要性を明らかにする画期的な研究成果を達成した。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
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