研究課題
本研究は、家族介護者の介護負担や心理・社会的状況が、要介護者の予後および介護費用に及ぼす影響について、在宅介護における家族介護者と要介護者のコホートデータの構築を通じて、検討することを目的としている。2023年度は、主に家族介護者と要介護者のデータ構築のために、2つのコホート研究の実施に取り組んだ。軽度要介護者(要支援1~要介護1)のコホート研究として、郵送および対面調査から約600人の家族介護者状況の情報も含む要介護者のベースラインデータを取得した。また、在宅介護実態調査の枠組みを利用し、約3,000人の家族介護者と要介護者のデータを取得した(在宅ケアとくらしの調査)。今後、これらのデータの分析を通じて、研究課題を検討していく基盤を整備することができた。また、家族介護負担を把握するための尺度開発にも取り組んだ。Caregiver Reaction Assessment日本語版の短縮版(CRA-J-10)の作成を行い、国際誌にて発表した。本尺度は、上記2つのコホートデータにおいても取得している。加えて、英国University College London, Department of Behavioural Science and Healthとの共同研究を行い、英国滞在を通じて、高齢者のメンタルウェルビーイングに関する国際比較研究に取り組んだ。本研究は追加分析を通じて、今後国際カンファレンスおよび国際誌への投稿準備を進めていく。
2: おおむね順調に進展している
2つの要介護者および家族介護者のコホートを構築し、分析できる準備が整っている。また、家族介護負担尺度の作成を行い、国際誌での発表および、コホート調査内でのデータ取得も行うことができた。今後、データ分析を通じて、介護負担等の家族状況と要介護者の予後アウトカムとの関連性について検討を行っていくことができる。
軽度要介護者のコホートについては、今後追加調査と転帰データのリンケージを通じて、要介護者と家族介護者の縦断データの構築を進めていく。また在宅ケアとくらしの調査については、今後追跡調査と公的データの突合による転帰の把握から、縦断データの構築を行っていく。これらのデータ構築・分析を通じて、要介護者の予後アウトカムの改善に影響する家族介護者状況の同定を進めていく。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 11件) 備考 (2件)
Geriatrics & Gerontology International
巻: 24 ページ: 290~296
10.1111/ggi.14824
Journal of Epidemiology
巻: - ページ: -
10.2188/jea.JE20230343
老年社会科学
巻: 45 ページ: 29~34
Geriatrics & Gerontology International
巻: 24 ページ: 399~400
10.1111/ggi.14668
現代医学
巻: 70 ページ: 34~39
Dementia
巻: 22 ページ: 1886~1899
10.1177/14713012231207222
10.2188/jea.je20230127
Public Health
巻: 222 ページ: 178~185
10.1016/j.puhe.2023.07.018
Asia Pacific Journal of Public Health
巻: 35 ページ: 456~458
10.1177/10105395231186007
https://www.ncgg.go.jp/ri/lab/cgss/department/social/index.html
https://www.jages.net/