研究課題
超新星爆発によって誕生した中性子星は、νの散逸により冷えていくが、その冷え方は中性子星の内部構造と関係するため、高密度物質の情報を引き出すことが可能である。本研究課題では、このことに付随した以下の2つの研究を行った。1:ハドロン物質の有限温度状態方程式にπ中間子凝縮の影響を取り入れて中性子星の構造や冷却曲線を計算した。その結果、π中間子凝縮によって急激な冷却を発生させることができるため、強い中性子超流動効果の仮定のもとで低温中性子星の観測を再現可能であることがわかった。また、対称エネルギーが小さい場合には、核密度を大きく超える高密度領域で状態方程式の軟化の影響を受けにくいため、π中間子凝縮を入れても最大質量があまり下がらないこともわかった。従って、対称エネルギーが小さい状態方程式では、π中間子凝縮によって低温の観測と重い中性子星の観測を同時に再現できる可能性があることを主張した。2:低質量X線連星系内の急激な増光現象X線バースト観測から中性子星の内部情報を引き出せるか調べた。特に、急激なν冷却過程が及ぼす光度曲線の変化について調べた。結果として、急激なν冷却が発生すると、再帰時間やピーク光度が最大20%程度ほど大きくなることを示した。また、規則的なX線バースト天体GS 1826-24の光度曲線との比較により、不定性の大きい降着率の観測精度が今後向上すれば、それらの違いを区別できることもわかった。また、非常に長いX線バースト(スーパーバースト)の場合には、急激なν冷却過程の発生の有無を再帰時間の観測から特定できることもわかった。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
アメリカ天文学会AAS Novaで研究成果がハイライトされた:https://aasnova.org/2022/11/30/four-perspectives-on-neutron-stars-pulsars-and-magnetars/
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