研究課題/領域番号 |
22KK0008
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北川 千織 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員研究員 (10844798)
|
研究分担者 |
佐藤 丈寛 金沢大学, 医学系, 助教 (10558026)
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
|
研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
|
キーワード | エジプト考古学 / 動物考古学 / 宗教儀礼 / 動物ミイラ / 中エジプト / 動物埋葬 |
研究実績の概要 |
古代エジプトのグレコ・ローマ時代の宗教とそれに関係して利用された動物から、シェーン・オペラトワールの概念を用いて社会の一端を復元することを目的としている。動物の宗教・儀礼利用に関しては、断片的な情報を拾い集めた上に立つ推論や仮説がまだまだ多く、この研究で全体像を掴むために欠けている多くのピースの破片を少しでも見つけて繋げていきたい。ケーススタディとして中エジプトの3箇所の動物ネクロポリス、動物墓、動物儀礼の遺構を含む遺跡の共同調査・研究を行う。 2023年度はゲベル・アシュート遺跡において、ドイツのベルリン自由大学、エジプトのソハーグ大学、ポーランドの科学アカデミーと8・9月に共同でフィールド調査を行った。フィールド調査では、代表者は埋葬された哺乳類の動物遺体のマクロの調査(骨形態、計測などの肉眼による観察)およびパレオゲノミクスのための試料採取を行った。さらに、フィールド調査に参加したベルリン自由大学の大学院生により鳥類(アフリカクロトキ)ミイラの調査が行われた。また、日本から参加した大学院生によりAnimal Necropolis Ware呼ばれる動物埋葬土器(動物用土器棺)の調査が開始された。その他、考古植物学、テキスタイルの専門家らが参加し、前者は動物墓から出土した植物遺体、後者は動物ミイラに利用された布を調査した。遺物調査に並行して、遺跡内の遺構2箇所(第1号墓内シャフトとMesehtiの墓の前庭)のクリーニングが実施された。 他2遺跡、すなわちTuna el-Gebel遺跡とその隣に位置するコム・エル・ロリ遺跡の調査は、2023年度はエジプト考古局の許可が出ず行うことが叶わなかった。Tuna el-Gebel遺跡の調査団による研究集会が6月に行われ、研究目的と推進方針に関する発表を研究分担者と共に行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、日本・エジプト・ドイツで、エジプトの動物埋葬に関係する遺跡で共同調査する予定としている。前述の3国以外にもポーランドの科学アカデミーの研究者らも参加し、2023年度にはGebel Asyut al-gharbi遺跡で、4国の研究機関の合同調査が実施できた。各専門家(フィールド考古学、動物考古学、考古植物学、テキスタイル、土器、碑文学)が参加し、予定していた通りの内容の調査ができた。調査成果は、概報として毎年フィールド調査後に出版される。2023年度の調査概報は現在草稿段階でまとめており、2025年に出版されるStudien zur Altaegyptischen Kultur 53に出版予定である。 一方、Tuna el-Gebel遺跡とその隣に位置するコム・エル・ロリ遺跡の調査は、2023年度はエジプト考古局の許可が出ず行うことが叶わなかった。2023年6月にミュンヘンで行われたTuna el-Gebel遺跡の調査団による研究集会で、研究目的と推進方針に関する発表を研究分担者と共に行った。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、エジプト考古省の許可を得てTuna el-Gebel遺跡とKom el-Loli遺跡の調査を実施したい。本来2023年度に行う予定であった、地下動物ネクロポリスの回廊の一部のクリーニングを行いたい。 Gebel Asyut al-gharbi遺跡は2023年度同様、8月と9月に調査予定である。フィールドワークの他、パレオゲノミクスの調査も進めたい。Gebel Asyut遺跡出土の動物遺体の試料は2023年度に採取したので、2024年度はGiza市にある国立病院のラボをかりて研究分担者・研究協力者らと共に実験をできる限り推進したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2024年度の使用計画: エジプトの3遺跡のフィールドワーク実施に関わる費用; 動物試料ゲノム調査(NGSによるシーケンス); 国際学会発表のための旅費などを計画している
|