• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

東アジア学の共進化を目指す国際共同研究: グローカル長崎華僑・華人研究の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 22KK0011
研究機関長崎大学

研究代表者

王 維  長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (10322546)

研究分担者 陳 天璽  早稲田大学, 国際学術院, 教授 (40370142)
岡野 翔太  大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (40942412)
廖 赤陽  武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (50308045)
伍 嘉誠  北海道大学, 文学研究院, 准教授 (90808487)
研究期間 (年度) 2022-10-07 – 2027-03-31
キーワード東アジア / 華僑・華人 / 文化交流 / 社会秩序 / グローカル / ネットワーク / 国際連携
研究実績の概要

本研究は、東南アジアを含む東アジア域内交流の中で、長崎華僑の歴史過程をどのように多面的に構築することができるのか、かつて長崎華僑が社会で共有する知識=<知域>はアジア地域秩序の形成にどのように関係していたのか、長崎華僑研究はアジア移民史研究の全体に対する意義とは何か、などの問いに焦点を合わせながら、個別の専門領域を超えた総合的研究を目指す。
これまでの実績を基に長崎華僑史の取り組むべき二つの研究課題がある。第1に、長崎華僑のネットワークが、現代のグローバリゼーションに対応した地域形成の参照軸としての歴史モデルであるべきこと。日本と中国、東南アジアの華僑華人の歴史的な関係から、現代東アジアの変動のダイナミズムを考察するための学術的示唆を獲得する。第2に、グローカル視点の長崎華僑史研究であるべきこと。グローバルとローカルのスケールが融合しながら変動する現代世界の動態を華僑華人のネットワークの視座から理解するうえで、長崎華僑史研究は有益な事例である。
2022年10月からスタートした本研究では、①②の課題に対して、東南アジア、中国の華僑研究者と対話を図り、新しい長崎華僑史を探求する。これにより、日本で蓄積されてきた長崎華僑史研究を東アジア広域史研究として体系化する。2022年12月、2023年3月に長崎とクアラルンプール、及び本研究の重要な海外拠点であるシンガポール南洋理工大学華裔館で研究会議を開催した。これらの研究会議では、シンガポールと中国の華僑研究者との国際連携の体制を構築するための研究活動の一環として、研究対話と研究成果の報告、研究動向などの情報交換を行い、学際的な視点から資料収集や研究調査の課題と方向性を議論した。研究会議以外、マレーシア、シンガポールにおける華人組織と華人研究センター、台湾中央研究院などにおいて、関連する文献調査と現地調査を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は採択期間によって、2022年10月から研究調査を開始した。日本、シンガポールと中国の研究者によって組織された研究体制であるため、①研究体制のあり方と方向性について検討する必要性、②海外拠点の体制構築の必要性がある。そこで東南アジア、中国の華僑研究と対話を図り、日本とマレーシア、そして本研究の海外拠点であるシンガポール南洋理工大学華裔館で研究会議を開催した。日本長崎会議はシンガポールと中国の華僑研究者との国際連携の体制を構築するための研究活動の一環として、研究対話と研究動向などの情報交換を行い、学際的な視点から資料収集や研究調査の課題と方向について議論する。クアラルンプールの会議では、台湾中央研究院及び日本武蔵野美術大学の研究者から中央研究院に保存されている長崎華僑商号の資料、特に東南アジアに関する資料及び研究動向について報告を行った。華裔館では東南アジア華人研究専門家と意見交換をした。研究会議以外、マレーシア、シンガポールにおける華人組織と華人研究センター、台湾の研究機関などにおいて、関連する文献調査と現地調査を実施した。これらの調査成果の一部として、2023年12月にタイで開催されるISSCO(世界海外華人研究学会)の会議にも報告する予定である。
以上の理由によって、本研究はおおむね順調に進展しているのではないか、という結論に至った。

今後の研究の推進方策

本研究テーマに関連する調査は主に中国福建、シンガポール、台湾、香港、長崎、神戸、横浜各地で実施する。主な調査テーマは、①華僑の<知域>ネットワークの変遷と展開、②日本と中国(大陸、香港、台湾)および東南アジア社会の地域間関係と華僑文化の変容と創造(宗教儀礼、華僑のライフヒストリーと地域生活史、華僑子女教育など)。
今後の調査計画は次のようである。文献・史料発掘調査。国内:長崎歴史文化博物館(海外交流史・地域文化)、長崎大学東南アジア研究所(旧植民地関係)、横浜開港資料館、神戸華僑博物館(日本華僑史や商業史)、東洋文庫。海外:福建省政府、福建師範大学福建・台湾関係地域研究センター、台湾中央研究院、香港中文大学、シンガポール国立大学、シンガポール国家図書館、華裔館(華僑研究機関)、マレーシア華社研究センター。現地調査は国内(横浜、神戸、大阪、長崎など)、海外(シンガポール、マレーシア)各地域における華僑・華人組織団体を中心に実施する。

次年度使用額が生じた理由

本研究が採択された時期は(2022年10月)新型コロナの感染拡大が続いている状況であったため、中国への渡航が困難となり、計画通りに調査が実施できなく、次年度使用額が生じてしまった。この使用額は次年度の海外調査の費用に充当しようと計画している。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] 南洋理工大学/華裔館(シンガポール)

    • 国名
      シンガポール
    • 外国機関名
      南洋理工大学/華裔館
  • [雑誌論文] 無国籍―国家からこぼれ落ちた人びと2023

    • 著者名/発表者名
      陳天璽
    • 雑誌名

      池直美、エドワード・ボイル編著『変容する日本の境界』

      巻: 1 ページ: 125-141

  • [雑誌論文] 中華民国派華僑組織の形成と台湾外省人(1950-60年代):大陸を去った「日本帝国」と「中華民国」で生きた人びとに注目して2023

    • 著者名/発表者名
      岡野翔太
    • 雑誌名

      陳來幸編『冷戦アジアと華僑華人』

      巻: 3 ページ: 183-212

    • 査読あり
  • [雑誌論文] エスノグラファーは「書くことが躊躇われること」をどう記述し得るか:ある華僑の経歴に関するテクストをめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      岡野翔太(共著宮原曉、林貴哉)
    • 雑誌名

      言語文化研究

      巻: 49 ページ: 181-202

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中国少数民族と漢族の間における格差―CGSS2017 データを用いた社会移動と暮し向きに関する分析―2023

    • 著者名/発表者名
      伍嘉誠(共著:翁康健・清水香基)
    • 雑誌名

      21世紀東アジア社会学

      巻: 12 ページ: 76-93

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 長崎福建会館の組織・ネットワークとその歴史変容(掲載決定)2023

    • 著者名/発表者名
      廖赤陽
    • 雑誌名

      華僑華人研究学刊

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 黄檗文化の触変・創造と新黄檗ネットワークの形成(掲載決定)2023

    • 著者名/発表者名
      廖赤陽
    • 雑誌名

      国際社会科学雑誌

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 交響する長崎中国文化の表象(掲載決定)2023

    • 著者名/発表者名
      王維
    • 雑誌名

      国際社会科学雑誌

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ポルトガルにおける華人組織・団体と華人第二世代教育2022

    • 著者名/発表者名
      王維
    • 雑誌名

      白山人類学

      巻: 25 ページ: 87-130

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 在日華僑華人三世代のオートエスノグラフィ:横浜中華街で生まれ育った「私」のhomenessとhomelessness2022

    • 著者名/発表者名
      陳天璽
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: 87(2) ページ: 224-242

    • 査読あり
  • [学会発表] なぜ我が家は無国籍を選択したのか?「日中国交正常化50周年~あの時、華僑の選択は」2022

    • 著者名/発表者名
      陳天璽
    • 学会等名
      日本華僑華人学会
  • [学会発表] "Religion and Biopolitics in Hong Kong: Religious Responses to Government's Zero-Covid Measures"2022

    • 著者名/発表者名
      伍嘉誠(Ng, Ka Shing)
    • 学会等名
      the 4 th Annual Meeting of East Asian Society for the Scientific Study of Religion
  • [図書] 無国籍と複数国籍2022

    • 著者名/発表者名
      陳天璽
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      光文社
    • ISBN
      978-4-334-04615-6

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi