研究課題
欧州火星探査衛星TGO搭載NOMAD観測データを用いた初期成果をAoki et al. (2023)として学術雑誌PSJにて出版することができた。より多くの観測データを用いた炭素同位体比解析を進めることができ、酸素同位体比(18O/17O/16O)も組み合わせた解析に着手、その成果の一部は学位論文(博士課程前期・塩原輝美恵)として結実することができた。地球からの望遠鏡観測の解析にも着手しており、学術雑誌に投稿済み、現在査読中である。超高層大気変動による同位体分別効果を明らかにすべく、東北大学および東京・葉山で、世界をリードする関連研究者らと国内研究者や大学生らを交えたワークショップを開催し、議論を推進することができた。NOMAD観測結果を再現するための光化学モデルの拡張も順調に進み、酸素同位体分別効果も新たに考慮することに成功、観測結果を概ね説明可能な予察的結果が得られつつある。モデル最終検証後に、学術論文として出版すべく準備を進めている。並行して、独自開発を進めてきた本モデルの紹介論文を学術雑誌EPSにて出版することができた。MSAとNOMAD観測結果を結合するための電磁流体モデル開発も進んでおり、多流体モデルへの拡張およびテスト粒子計算との組み合わせを実施した。成果の一部は、海外からの招待講演にて報告されている。一連の成果は、国内外の学術会議にて成果報告がなされている。
2: おおむね順調に進展している
新たな同位体遠隔分析手法に関する成果を査読月学術雑誌にて出版することができただけでなく、モデル開発も順調に進んでおり初年度に続く論文を投稿間近に控えている。初年度課題にあがった超高層大気変動の効果についても本経費によりワークショップを開催することにより議論を進めることができた。電磁流体モデル開発も順調に拡張が進んでおり、次年度の成果出版を見込める。
MMX搭載MSAの開発自体は順調に進んでいるものの、ラウンチャーであるH3ロケット開発状況の影響もあり、MMX打ち上げ目前に控えながらも、打ち上げ2年延期が2023年12月に決定された。これは、研究期間内にMSA観測結果が得られないことを意味し、本課題への影響は無視できない。現在までの進捗状況は非常に順調であり、MMXと有機的に結合するためにも研究期間の延長が切望されるが、MSA観測につなぐための数値モデル予測を軸とした展開も含め、多角的かつ慎重に今後の研究推進方策を検討する必要がある。その議論のため、今年度に、日本側研究代表者は海外研究共同代表者であるAnn Carine Vandaele博士のもとを訪れ、短中期的に滞在し検討を進め、延長決断を行う予定である。
MMX打ち上げ延期に伴い、今後の研究推進方策を見直す必要がでた。その検討を進めるため、代表者同士の密な議論が必須であり、そのための今年度滞在費を確保する必要が生じたため。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Journal of Geophysical Research: Space Physics
巻: 128 ページ: -
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The Planetary Science Journal
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