研究課題/領域番号 |
22KK0059
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 周平 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00378811)
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研究分担者 |
相子 伸之 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 主幹研究員 (30443526)
近藤 美麻 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 研究員 (40737590)
李 文驕 京都大学, 地球環境学堂, 研究員 (30962477)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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キーワード | マイクロプラスチック / ナノプラスチック / 路面粉塵 / 動態解析 |
研究実績の概要 |
2023年9~11月にカトマンズ盆地のBagmati川流域における様々な環境試料を採取し、マイクロプラスチックの分析を行った。具体的に、森林と農地(畑)の表層土壌、路面塵埃、腐敗槽汚泥、河川放流下水、下水処理場の流入、放流水を粒径 10~300 um、300 um~5 mm に分画し、それぞれLDIR、FTIR-ATRを用いてマイクロプラスチックの個数密度を分析し流域における排出源の探索を開始した。また、カトマンズと東京でアンダーセンエアサンプラー(AN-200、SIBATA)を用いて3~7階の建物から屋外大気を3~7日間連続で採取し、熱分解GC/MSを用いた大気中のプラスチックの粒径別分析法(主に0.43~11 um)の検討を試みた。その他、日本国内の生物試料(主に魚類)を沖縄と大阪で採取し、微量化学物質の定量と主にプラスチックの生物濃縮実態の分析手法を検討した。さらに、大阪府内の農業水路におけるマイクロプラスチックの汚染実態の把握を進めている。2024年3月にカトマンズ盆地の都市河川流域におけるマイクロプラスチックの負荷源の推定等について、日本水環境学会で口頭発表を行っており、特に森林からの流出量が多いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、カトマンズに長期滞在(90日)し現地の関係機関と協力しながら環境試料を採取することができた。さらに、土地利用や統計情報なども入手することができた。各試料中のマイクロプラスチックを現在、研究室にて分析中である。大気試料については比較対象となる東京での採取も終えている。熱分解GC-MSによるナノプラスチックの定量方法の開発が順調に進んでおり、実大気中のナノプラスチックの存在実態についても議論する素地を整えることができた。さらに、国内では、灌漑期において水、底泥、付着藻類および生物をサンプリングし、分析を進めており、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に採取した環境試料中のマイクロプラスチック、ナノプラスチックの分析を進める。さらに2024年度もカトマンズと日本国内において調査を実施し、環境試料、生物試料および大気試料などの採取する。特に、ナノプラスチックの定量を行うことで、河川生態系、水田生態系に着目した生物濃縮に着目し調査を行う。また、国内では周辺の土地利用が異なる水路においても調査を行い、マイクロプラスチック汚染の実態を把握する。また、プラスチックに練りこまれた添加剤などの分析方法を確立し、紫外線によるプラスチックの劣化と添加剤との関係などを検討するための材料を収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張時に現地で行う分析用前処理の作業に必要となる機器や器具を、できるだけ現地で借りるなどの工夫をした結果、当初予定の経費を節約することができた。また、新型コロナウイルス感染症の影響で、一時、高騰していた航空券の価格が落ち着いたため、事前に想定したよりも旅費を抑えることができた。次年度に繰り返した分については、より充実した分析を行えるよう軽量化された大気サンプラーなどの購入等に充てる予定である。
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