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2023 年度 実施状況報告書

微生物の多様性指数を用いたコンクリート構造物の劣化診断手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22KK0064
研究機関広島大学

研究代表者

寺本 篤史  広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (30735254)

研究分担者 佐藤 賢之介  山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20821606)
中嶋 麻起子  広島工業大学, 工学部, 講師 (40773221)
研究期間 (年度) 2022-10-07 – 2025-03-31
キーワード微生物 / 中性化 / 硫酸塩劣化 / 塩分浸漬 / 多様性指数 / DNA抽出
研究実績の概要

本研究課題は,コンクリートの劣化を微生物群集の多様性指数によって評価・予測する手法を提案することを目的としており,2022年度にコンクリート供試体を作製し,中性化,塩分浸せき,硫酸塩浸せきの促進劣化を開始した。2023年度は,これらの促進劣化を施した試験体を米国デラウェア大学に送付し,Maresca博士(当時デラウェア大学)が開発したコンクリート内部のDNAの抽出方法を,Maresca博士本人の指導のもと実施した。
米国滞在中には,すべての試験体の分析を終えることができなかったため,帰国後に広島大学の研究代表者の研究室内に,このプロトコルを再現可能な環境を整備し,残りの試験体のDNA抽出を行った。また2024年3月にはMaresca博士を広島大学に招聘し,当研究室内の実験設備および手法が適切であることを確認した。
以上の実施内容で実施した実験で以下の知見が得られた。
(1)促進中性化,塩水浸せき,硫酸塩浸せきの促進劣化を3か月程度行ったところ,コンクリート中のDNA濃度に与える範囲は表層から10mm程度であり,それぞれの劣化に応じて,pH,塩化物イオン濃度,硫酸イオン濃度,ならびに空隙量に分布が生じていた。(2)いずれの促進劣化方法でも,表層部のDMA濃度はコントロ―ル試験体より小さく,コンクリートの促進劣化により微生物の増殖が抑えられていると考えられた。(3)コンクリート中の主な微生物は各促進劣化方法に対して耐性を持つものもいると考えられるが,複数の条件が重なったことにより増殖が抑えられたため,上記の結果が得られたと推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度の試験体作製,および2023年度のDNA抽出の実施と,研究計画に従って概ね順調に進展している。試験体によっては抽出したDNAの濃度が極めて小さく,微生物群集構造を取得するためハイスループットシーケンスに供することが困難な試験体があり,2024年度にDNA濃縮方法についての追加の検討を行う必要がある。

今後の研究の推進方策

2024年度は,塩基配列のデータを用いて,コンクリート表層部から内部にかけての微生物群集構造の分布を微生物の多様性指数で評価し,劣化度との相関関係を確認する予定であった。しかし共同研究者のMaresca博士が2023年12月に勤務先の異動(デラウェア大学→NYカレッジ)があったため,当初予定していた2024年度のデラウェア大学でのハイスループットシーケンスの実施と,統計解析を中止せざるを得なくなった。
この実験の実施と統計解析のための打合せは,日本国内の分析機関への外注,およびオンライン打合せで埋め合わせる予定である。

次年度使用額が生じた理由

2023年度に拡散係数の測定機器を購入予定であったが,製作に想定以上の時間がかかることが判明したため2024年度の納品となった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] デラウェア大学/SUNY ESF(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      デラウェア大学/SUNY ESF
  • [雑誌論文] 促進劣化によるコンクリート中の微生物量の変化2024

    • 著者名/発表者名
      日本睦実,佐藤賢之介,Julia A Maresca,寺本篤史
    • 雑誌名

      日本コンクリート工学会年次論文集

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] コンクリートの各種促進劣化時に生じるDNA濃度の変化に関する実験2024

    • 著者名/発表者名
      日本睦実,寺本篤史
    • 学会等名
      日本建築学会中国支部研究発表会
  • [学会・シンポジウム開催] International workshop on physical, chemical and biological approaches to building environment2024

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公開日: 2024-12-25  

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