研究課題/領域番号 |
22KK0072
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山根 結太 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30586863)
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研究分担者 |
竹内 祐太朗 東北大学, 材料科学高等研究所, 特任助教 (10882136)
好田 誠 東北大学, 工学研究科, 教授 (00420000)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | スピントロニクス / 反強磁性 |
研究実績の概要 |
本研究は、反強磁性ナノ構造を対象として、その電流誘起高速磁気ダイナミクスの制御に実験・理論の両面から挑むものである。磁気デバイスの飛躍的な高速化(テラヘルツ領域)を実現しうる材料物質として、反強磁性物質が近年注目を集めている。しかし、こうした超高速領域での磁気ダイナミクスについては未解明な部分も多く、テラヘルツで反強磁性体を電気的に制御する手段はいまだ確立されていない。本研究の目的は、カイラル反強磁性体において最近見出されたスピン流誘起恒常回転励起に着目し、これを電気的パルスにより精密制御することで、反強磁性ナノ構造の高速磁気構造スイッチングへの道を拓くことである。これにより、反強磁性ナノ構造における磁気励起現象の解明とその工学応用へ向けた研究展開が拓かれると期待される。スピン流物理研究の知見と、高品質カイラル反強磁性薄膜の作製技術、および海外共同研究者が有する高速磁気測定技術を組み合わせることで、反強磁性ナノ構造をテラヘルツで制御する新手法の創出を目指す。当該年度においては、採択直後に代表者が海外共同研究先であるロレーヌ大学(仏)へ渡航し、セミナー実施及び議論打ち合わせを通じて今後のプロジェクトの具体的方針を定めた。その後、カイラル反強磁性体Mn3Snのエピタキシャル単結晶ナノドット薄膜の作製およびその熱安定性の評価に成功し、この成果はApplied Physics Letters 122, 122404 (2023)に掲載され、Featured Articleに採択されている。本成果により、ナノスケールでのカイラル反強磁性ダイナミクスのより詳細に迫ることが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画では、計画初年度である当該年度は主に、共同計画の立ち上げをスムーズに完了させることを目標としていた。初年度のうちにカイラル反強磁性体Mn3Snのエピタキシャル単結晶ナノドット薄膜の作製とその物性評価に成功したことは、当初の計画以上の進展である。また、当初計画になかった新しい反強磁性研究の展開の一つとして、代表者は同種重金属にサンドイッチされた積層反強磁性構造における電流誘起磁化反転ダイナミクスに関する実験・理論研究において、Applied Physics Letters 122, 162402 (2023)を発表している。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者・研究分担者がロレーヌ大学に定期的に渡航するとともに、先方から研究者を招聘する人材交流を通じて、共同研究をさらに加速させていく。具体的には、山根(研究代表者)が研究総括、数値シミュレーションに基づく実験設計、および実験結果の理論解析を行う。竹内(研究分担者)・好田 (研究分担者)が素子作製から素子の基礎物性評価・スピン輸送特性評価までを行う。磁性材料成膜から加工・熱処理、素子評価までの工程を、東北大学にて行う。光学的・電気的パルスを用いた測定実験は、ロレーヌ大学にてStephane Mangin氏(海外共同研究者)が運用する既設設備を適宜利用しながら、同氏のサポートのもとで行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍規制の影響により、当初研究計画時から海外渡航計画に変更を余儀なくされた。次年度使用額を用いて、次年度により頻繁な人材交流およびより長期的な滞在を実施することで、継続的かつ顕密な国際共同研究を展開させる。
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