研究課題/領域番号 |
22KK0077
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
武森 信暁 愛媛大学, 学術支援センター, 講師 (40533047)
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研究分担者 |
星野 歩子 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (00819964)
紺野 亮 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, 特任研究員 (00935736)
川島 祐介 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, ユニット長 (30588124)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | プロテオフォーム / トップダウンプロテオミクス / ミドルダウンプロテオミクス / GeLC-FAIMS-MS / エクソソーム / ゲル電気泳動 / 質量分析 / PEPPI-MS |
研究実績の概要 |
本課題ではクリスティアン・アルブレヒト大学キール(CAU)のトップダウンプロテオミクス研究グループ(代表:Prof. Andreas Tholey)との国際共同研究により、質量分析による高深度なインタクトプロテオフォーム解析を可能にする新規トップダウンプロテオミクス法の開発を行う。今年度は、ポリアクリルアミドゲル内のインタクトタンパク質の高効率受動抽出法(PEPPI-MS)を活用したゲルベースのプロテオーム分画、C4カラムを用いた逆相液体クロマトグラフィによる追加分離、そしてフィールド非対称イオン移動度分光分析法(FAIMS)による気相中でのタンパク質イオン分離を組み合わせた多次元プロテオームサンプル分離技術(GeLC-FAIMS)の開発に成功しており、現在までにCAUが保有する高分解能Orbitrap質量分析装置とGeLC-FAIMSを組み合わせることにより、高深度トップダウンプロテオフォーム解析のための計測システムを構築することに成功している。また現状のトップダウンプロテオミクスワークフローでは解析が困難な50 kDa以上の高分子量プロテオフォームを計測するための新たな手法として、Glu-Cプロテアーゼによる限定消化処理とGeLC-FAIMSを組みわせた高深度ミドルダウンプロテオフォーム解析用のサンプル前処理ワークフロー開発に取り組み、開発したワークフローの性能評価をTholey研究室において実施した(2023年3月に研究代表が訪問)。市販のヒト培養細胞抽出物を用いた解析の結果、PEPPI-MSによる分画処理を行うことにより検出可能なGlu-C消化断片数が2.3倍増加することが明らかとなった。現在は開発ワークフローを用いて、ヒト乳がん細胞株(4175細胞)由来エクソソームサンプルのプロテオフォーム解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年3月のCAU訪問により、今年度予定していたGeLC-FIAMS-MSシステム構築およびミドルダウンプロテオフォーム解析のためのサンプル前処理ワークフロー開発を達成しており、開発した技術によるエクソソームのプロテオフォーム解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、サンプルを丸ごとGlu-C消化した後に、消化断片をGeLC-FAIMSで分画するミドルダウンプロテオフォーム解析法(Global Middle-Down Proteomics)を開発したが、次年度は標的分子量領域のプロテオフォーム成分にフォーカスした高深度ミドルダウンプロテオフォーム解析を可能にするTargeted MIddle-Down Proteomics法を新たに開発し、従来のトップダウン解析アプローチでは計測不可能な微量エクソソームサンプル中の高分子量タンパク質成分(インテグリンなど)のプロテオフォーム解析に挑戦することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度のCAU訪問は当初の予定よりも短期となったため、旅費の未使用分を次年度に使用することにした。次年度では成果発表をおこなうための旅費に使用することを計画している。
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