研究課題/領域番号 |
22KK0078
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
伊福 伸介 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (70402980)
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研究分担者 |
佐々木 紀彦 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (30962328)
上中 弘典 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40397849)
野上 敏材 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (60402963)
遠藤 常嘉 鳥取大学, 農学部, 教授 (70423259)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | キチン / ナノファイバー / オリゴ糖 / バングラデシュ / 土壌 / 微生物 |
研究実績の概要 |
研究計画に従い、(1)ナノファイバーの製造、(2)植物と微生物に対する機能の検証、(3)モデル化合物の合成について取り組んだ。いずれも下記の通りの成果を得ており、概ね計画に対して順調に進んでいる。 (1)ナノファイバーの製造については、バングラデシュで養殖の盛んなブラックタイガーからキチンナノファイバーを製造できた。得られたナノファイバーについて、形状や化学構造、諸物性(溶液粘度、分散性、結晶構造、熱的特性)について各種分析機器を用いて基礎データを集積した。また、製造の低コスト化をも奥的に抽出方法の改良を行った。すなわち、精製操作の簡略化のためタンパク質や灰分等を敢えて残留させたまま粉砕して、得られる粉砕物の形状や組成、諸物性データを集積した。一連の成果についてまとめて論文の投稿を準備中である。 (2)植物と微生物に対する機能の検証については、相手国にてキチンナノファイバーを土壌施用して栽培したイネの生育評価を再度実施し、生育促進効果と窒素肥料の代替効果に関連した土壌分析と植物の生育データを集積した。また、キチン(ナノファイバー)施用による植物の生育促進に関わるキチンオリゴ糖としてキチンオリゴ糖4糖を同定した。 (3)モデル化合物(キチンオリゴ糖)の合成については、キチンオリゴ糖の電解重合による合成法を応用して、結合様式の異なるオリゴグルコサミンの合成にも成功し、研究成果を原著論文として投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)ナノファイバーの製造、(2)植物と微生物に対する機能の検証、(3)モデル化合物の合成について取り組み、いずれも当初の計画通りに研究が進んでいる。 (1)バングラデシュで養殖の盛んなブラックタイガーからキチンナノファイバーを製造できた。得られたナノファイバーについて、形状や化学構造、諸物性について各種分析機器を用いてデータを集積できた。また、精製操作の簡略化と製造コストの抑制を目的にタンパクや灰分等を敢えて残留させたまま粉砕して、得られる粉砕物の形状や組成、諸物性データを集積できた。得られた成果について、現在論文を投稿準備中である。 (2)バングラデシュにてキチンナノファイバーを土壌施用して栽培したイネの生育評価を再度実施し、生育促進効果と窒素肥料の代替効果に関連した土壌分析と植物の生育データを集積した。また、キチンナノファイバー施用による植物の生育促進に関わるキチンオリゴ糖としてキチンオリゴ糖4糖を同定した。 (3)キチンオリゴ糖の合成:キチンオリゴ糖の電解重合による合成法を応用して、結合様式の異なるオリゴグルコサミンの合成にも成功し、研究成果を原著論文として投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)エビ殻からキチンを抽出し、粉砕によってナノファイバーに変換する。得られるナノファイバーについて、形状や化学構造、諸物性について基礎データを引き続き集積してカニ殻由来ナノファイバーと比較する。また、植物に対する効果を検証するために共同研究者に提供する。一方、タンパクや灰分等を敢えて残留させたまま粉砕して、得られる粉砕物の形状や組成、諸物性データを集積する。そして、検証するために共同研究者に提供する。また、キチンナノファイバーの製造や評価に係る技術を相手国協力機関に移転する。 (2)キチンオリゴ糖の電解重合をフロー電解合成装置を用いて実施し、収率と収量の向上を目指す。 (3)引き続きバングラデシュの土壌・水、栽培方法、気候に関する情報を収集し、栽培試験方法とキチンナノファイバーの施用効果を検証する。また、現地の土壌微生物叢の解析を行い、細菌叢や糸状菌叢の組成について日本の土壌と比較する。キチンオリゴ糖4糖による植物の生育促進の分子メカニズムの解明にも取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
キチンナノファイバーの製造と分析ならびに植物に対する機能性評価のために必要な消耗品の購入費が想定よりも安価であったこと、既存の物品で賄えたため。 また、モデル化合物の合成のために雇用を予定していたプロジェクト研究員が他機関に移動になったため。 今後も引き続き研究費で賄われていることを認識して、節約できるところは節約しながら計画的に執行していく。
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