現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者は前駆研究でEBOVのNCLS形成・輸送機構が、タンパク質発現系を用いた非感染性ライブセルイメージンングシステムで再現できることを示した。このシステムを用いてヌクレオカプシド様構造(NCLS)の形成・輸送は、3つのウイルスタンパク質で制御されることを解明した。またNCLSを構成する3つのウイルスタンパク質 (ヌクレオプロテインNP, VP24, VP35)について、どのドメインがNCの形成・輸送機能を制御するか解析した。これまでにVP24タンパク質のYxxLモチーフがNC形成・輸送に関わることを明らかにした。続いて、NP, VP35のNCLS形成・輸送制御領域の同定を進めた。NPは739個のアミノ酸から構成され、NP1-450がオリゴマー形成に重要であることから、タンパク質結合領域とされるC末領域の欠損変異体シリーズを構築した。同様にVP35についてもN末欠損変異体及びC末欠損変異体を作成し、NCLSの形成・輸送機能を評価した。 ヌクレオカプシドは、RNAのほかにNP, VP24, VP30, VP35, Lの5つのウイルスタンパク質で形成される。研究代表者の研究により、VP30はNCLS形成には関与しないが、NCLS周囲を取り囲むように局在すること、VP30-NP間相互作用によりVP30がNCLSに結合することが示唆された。従って、NCLS形成解析の際にVP30を加えることで、構造が安定する可能性が示唆された。 構造解析については、既報であったEBOVのNP-RNA構造に加えて、マールブルグウイルスのNP-RNA構造を近原子分解能で解明し報告した。またNP-NP結合領域およびNP-RNA結合領域を同定し、各ウイルスの転写・複製を制御するアミノ酸を同定した。 以上のように、構造解析・動態解析についてある程度の進捗を認めたため。
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