研究課題/領域番号 |
22KK0123
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
岡村 信行 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40361076)
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研究分担者 |
古本 祥三 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00375198)
原田 龍一 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60735455)
原田 愛子 (石木愛子) 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (30778634)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2025-03-31
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キーワード | PET / 神経炎症 / バイオマーカー / アストロサイト / アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
神経炎症の画像バイオマーカーとしての[18F]SMBT-1 PETの有用性を確立し、神経変性疾患における神経炎症の実態を明らかにすることを目的として、米国Houston Methodist研究所との国際共同研究を2022年度から開始した。Houston Methodist研究所内での[18F]SMBT-1の試験合成は順調に進み、初年度中に倫理委員会(IRB)での審査手続きを完了することができた。2023年2月にHouston Methodistにおける第1例目の撮像(全身撮像)を実施し、静脈内投与後のSMBT-1の体内分布を評価した。その後、動脈血採血を伴う脳撮像を行い、最適な撮像時間帯の確認を進めている。これと並行して、東北大学サイクロトロンRIセンターにおいても[18F]SMBT-1を用いた臨床研究を実施し、先行研究と同様、アルツハイマー病患者の大脳皮質におけるSMBT-1の異常集積を観察した。今後Houston MethodistではTSPOリガンド([11C]ER176)との比較研究を実施する予定であるが、その予備実験として、剖検脳サンプルを用いたin vitro結合実験を行った。アルツハイマー病患者脳において[18F]SMBT-1とTSPOリガンドの結合量は互いに正の相関関係を示し、GFAP発現量とも相関していた。しかしながら脳切片のオートラジオグラフィーでは、両リガンドの結合分布が大きく異なることが判明した。本結果から、[18F]SMBT-1はTSPOリガンドと同様に神経炎症を反映するリガンドであるが、正確にはTSPOリガンドとは異なる病態を反映しているものと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
米国Houston Methodist研究所内における承認審査に時間がかかり、臨床研究の開始時期が若干遅れたものの、その後順調に研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
これまで取得したデータに基づいて、[18F]SMBT-1の動態解析を進め、安定した定量化手法を確立する。2023年度中に[18F]SMBT-1 PETと[11C]ER176 PETの比較研究に着手し、MAO-BリガンドとTSPOリガンドの特性の違いを明らかする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は予算が使用可能となってからの期間が短く、また米国での研究が遅延したこともあり、次年度使用額が発生した。東北大学における臨床研究で今後使用予定の新規PETリガンドの前駆体合成費用や米国内で使用するSMBT-1の前駆体合成費用に充てる予定である。
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