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2023 年度 実施状況報告書

モデル動物を用いた多面的アプローチによる嚥下障害の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 22KK0139
研究機関新潟大学

研究代表者

井上 誠  新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)

研究分担者 辻村 恭憲  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
那小屋 公太  新潟大学, 医歯学系, 助教 (10806491) [辞退]
吉原 翠  新潟大学, 医歯学系, 助教 (70882330) [辞退]
真柄 仁  新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90452060)
研究期間 (年度) 2022-10-07 – 2025-03-31
キーワード歯科 / 嚥下 / 摂食嚥下障害 / 神経ネットワーク / 廃用
研究実績の概要

咳嗽研究を発端とした嚥下反射誘発の末梢機構解明のために,Johns Hopkinsにて行った末梢のATP放出と嚥下誘発機構との関連研究により,食道内へのエア・蒸留水(DW)刺激誘発性ATP放出にはTRPチャネルまたはPiezo1チャネルが関わることが示された.さらに,刺激様式として,エアによる機械刺激よりもDW刺激効果が高かったことは,何らかの水応答性受容体の関与を示唆していた.さらに,食道内へのDW刺激はコントロールに比較して,嚥下誘発効果も高かった.これまでの実験により,我々は低浸透圧刺激によるATP放出に関与する受容体としてTRPV4受容体の関与を考え,TRPV4受容体の選択的アゴニストおよびアンタゴニストを用いた食道内放出ATP計測を行ったところ,有意な放出の抑制が認められている.加えて,嚥下実験を行う予定としている.さらに,末梢の受容機構のひとつにカリウムチャネルが関与するという過去の報告をもとにカリウム刺激と嚥下誘発との関連を電気生理学的,組織学的に調べたところ,カリウムイオン依存性の嚥下応答の増加,上喉頭神経の応答増加,内向き整流カリウムチャネルのうち,中枢に発現するATP依存性カリウムKirチャネル(Kir6.2)や神経に発現するKir3.1が咽頭喉頭にも発現しており,これらが関わっていることを示した.一方,軟食がもたらす咀嚼筋の廃用,分泌されるHemopexinが筋,血管内,脳内(海馬)にて観察されるか否かを確認する目的での実験のうち,Pellet,Powder pelletを用いた実験により,咀嚼時のみならず,一日の咀嚼筋活動量もまた後者で有意に減少しているが,長期的には体長の変化が認められないことを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Johns Hopkinsにて行っている実験から,末梢のATP放出と嚥下誘発機構との関連,ATP放出と嚥下誘発との関連を明らかにしている.一方,ATP放出に関わるトリガーについては,浸透圧受容体が候補として挙げられている.一方,カリウムイオンに焦点を絞った末梢の受容機構解明実験では,カリウムイオンが嚥下誘発に関わること,候補受容体として内向き整流カリウムチャネルのうち,中枢に発現するATP依存性カリウムKirチャネル(Kir6.2)や神経に発現するKir3.1が咽頭喉頭にも発現しており,これらが関わっていることを示した.障害モデルを用いた摂食嚥下運動の評価を行う実験では,その第一弾として一方,軟食がもたらす咀嚼筋の廃用,分泌されるHemopexinが筋,血管内,脳内(海馬)にて観察されるか否かを確認する目的での実験のうち,Pellet,Powder pelletを用いた実験により,咀嚼時のみならず,一日の咀嚼筋活動量もまた後者で有意に減少しているが,長期的には体長の変化が認められないことを明らかにしている.

今後の研究の推進方策

1.食道の上皮および筋層のPCRを行い,Piezo1,TRPV4,VRAC(Volume-Regulated Anion Channel:低浸透圧に応答する陰イオン透過チャネル) ,P2X受容体等の発現について検証する方針としている.
2.カリウム依存性嚥下誘発応答に関して,Kir6.2,Kir3.1以外の受容体の関与を明らかにする.さらにこれらの応答が細胞外のイオンバランスによって抑制から促進につながることをIn vitro実験で明らかにする.
3.老齢モデルを用いて,軟食がもたらす咀嚼筋の廃用,分泌されるHemopexinが筋,血管内,脳内(海馬)にて観察されるか否かを確認し,さらに行動学的実験にて海馬における神経新生への影響を確認する.

次年度使用額が生じた理由

研究補助員の体調不良により,廃用モデルの実験が滞った.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] カリウム溶液の嚥下惹起促進メカニズム2024

    • 著者名/発表者名
      川田里美, Titi Chotirungsan, 筒井雄平, 吉原 翠, 那小屋公太, 真柄 仁, 辻村恭憲, 井上 誠
    • 学会等名
      47回日本嚥下医学会総会ならびに学術講演会
  • [学会発表] モデル動物を用いた摂食嚥下運動の観察.歯科イノベーション・ロードマップシンポジウム2023

    • 著者名/発表者名
      井上 誠
    • 学会等名
      第65回歯科基礎医学会学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Effects of topical application of potassium ion on swallowing initiation in rats2023

    • 著者名/発表者名
      Satomi Kawada, Titi Chotirungsan, Yuhei Tsutsui, Midori Yoshihara, Kouta Nagoya, Jin Magara, Takanori Tsujimura, Makoto Inoue
    • 学会等名
      The 1st International Conference of Asian Dysphagia Society
    • 国際学会
  • [学会発表] Topical application of potassium ion facilitates swallowing initiation in rats2023

    • 著者名/発表者名
      Satomi Kawada, Titi Chotirungsan, Yuhei Tsutsui, Midori Yoshihara, Kouta Nagoya, Jin Magara, Takanori Tsujimura, Makoto Inoue
    • 学会等名
      第29回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会

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公開日: 2024-12-25  

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