研究課題
体内のアンモニアは、組織のアミノ酸代謝によってできる副産物であり、消化管においても腸内細菌が食物由来のアミノ酸を分解することで生成される。さらに、肝機能低下や腸内の感染症、タンパク質の過剰摂取なども、アンモニアを体内に蓄積させることが知られている。申請者は、アンモニア飲水により断続的に高アンモニア血症になるマウスが、不安様行動を示すことを複数の行動実験により見出した。また、in vitro再構成モデルを解析したところ、アンモニアが血液脳関門のバリア機能を破綻させることもわかった。これらの原因を明らかにすべく研究を行っている。特に血液脳関門のバリア機能の変化を捉えることができるアルブミンプローブを利用すべく、デンマーク・コペンハーゲン大学のHisase教授と共同研究を行い、より実用的なプローブの作成を目指した。現在までに、マウスの肝臓で産生し、血液中で検出できる蛍光標識アルブミンが見つかり、学会て発表した。また、うまくいかない蛍光プローブについては、その理由を解明すべく解析を行っている最中である。高アンモニア血症マウスの脳内解析については、細胞変化をうまく捉えきれていない部分が多かったため、研究手法を変えて検討を行っているところである。引き続き病態モデルマウスを作製し、解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
研究に着手することができ、徐々にデータを蓄積しているところである。
研究計画において、まだ開始していない実験に着手する。1つが飲水マウスの不安発症の原因解明である。アンモニアアンモニア飲水マウスの脳内変化を捉えるために、マウスの血液脳関門の状態をバリア機能解析も含めて検討する。また、ストレスに変化が起きているかを確認するために、血液中のストレスホルモンの解析、およびGABAA受容体の作動薬を投与した時の不安様行動の変化やストレス反応の変化の検討を行う。2つ目が開発中の一光子用のアルブミンプローブの利用である。効率よく発現するかの確認を行い、本研究への有用性について検討する。
共同研究の相手国への渡航をする時間を調整できなかったため。
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Scientific Reports
巻: 14 ページ: 4521
10.1038/s41598-024-55063-z