研究課題/領域番号 |
22KK0149
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
加藤 大智 自治医科大学, 医学部, 教授 (00346579)
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研究分担者 |
内海 大介 琉球大学, 医学部, 特命助教 (40551958)
水島 大貴 自治医科大学, 医学部, 助教 (50843455)
伊藤 誠 愛知医科大学, 愛知医科大学, 客員教授 (90137117)
高木 秀和 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (90288522)
山本 大介 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90597189)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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キーワード | リーシュマニア症 / 疫学 / 診断 / リスク評価 / ベクター / リザーバー |
研究実績の概要 |
本研究では、「顧みられない熱帯病」リーシュマニア症について、現場で実施できる迅速診断法・感染リスク評価法を構築し、継続的な感染症対策の一助とすることを目的とする。本年度の研究実績の概要は以下の通りである。1)スリランカの皮膚リーシュマニア症における血清診断法を確立し、患者検体に応用した。皮膚リーシュマニア症では通常、特異抗体は検出限界以下であるが、オリジナルの抗原を用いたELISAによる本法は、非常に特異性と感度が高く、抗体の検出が可能であった。今後他の地域でも応用できる可能性がある。2)スリランカのリーシュマニア症における遺伝子タイピング法を用いた感染原虫種同定法の確立し、患者検体に応用した。特異性と検出感度の高いnested-PCR法を独自にデザインし、非常に微量の検体からも原虫を検出、同定できることが確認された。今後はこの方法にさらに改良を加えて、より効率の良い疫学調査法の確立を目指す。3)ペルー北部のリーシュマニア症流行地域でサシチョウバエの調査を行い、分布サシチョウバエを明らかにするとともに、原虫媒介種を明らかにした。ペルー北部アンデス地域の流行地でサシチョウバエを捕集し、形態によるサシチョウバエの同定と顕微鏡下での感染原虫の検出を行った。陽性検体はさらに分子生物学的手法を用いて詳細に解析し、形態の多様性に富んだサシチョウバエ種と感染原虫種を同定することができた。これによって新たにペルーのリーシュマニア原虫を媒介するサシチョウバエを2種明らかにすることができた。得られた知見は、ベクター対策に寄与すると期待される。これらの研究成果は国際誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で、計画していたペルーとスリランカの現地調査を行うことができなかったため、進捗状況としては若干の遅れを感じる。しかしながら、これまで採取してきた検体の解析を行い、また、海外の共同研究者とともに研究成果をいくつかの論文にまとめることができた。スリランカのリーシュマニア症については、血清診断法および分子診断法の確立に成功した。これらの方法を患者検体に応用し、その有用性を確認した。今後はさらに本法を改良し、診断・調査を継続する。ペルーのリーシュマニア症の調査では、ペルー北部アンデス地域の流行地でサシチョウバエを捕獲し、分布種および原虫感染の調査を行った。この研究で、リーシュマニア原虫を媒介するサシチョウバエを新たに2種報告することができた。この成果はリーシュマニア症のベクター対策に寄与すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1)ペルーおよびスリランカにおけるリーシュマニア症の疫学調査、2)疾病流行地におけるLAMP法を用いた迅速分子診断の実施、3)分子生物学的手法を用いた大規模ベクター調査、4)スリランカのリーシュマニア症のリザーバー調査法の確立と応用、5)サシチョウバエ唾液抗原の発現と疫学調査への応用、について進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で計画していた海外疫学調査を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は海外疫学調査を実施するとともに、現地で採取した検体の解析を加速したいと考えている。また、より迅速・簡便な調査法の確立にも着手したいと考えている。
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