研究実績の概要 |
無線通信の根本的資源は周波数だが, 有限で, 既に多くの無線システムに割当て済みのため,底をつこうとしている. そのため, 有限で貴重な無線資源で, 膨大な通信データ量に対する複数の相反する評価指標を同時に高性能で達成できる, 新たな無線通信技術の開拓が必要である. 本国際共同研究は, 様々な課題に総括 的に取り組むという独自のアプローチで, 超多数接続と高通信品質を同時に可能とし,かつ省電力な次世代Internet of Things (IoT)無線ネットワークを設計する.従来法では実現されていない,現実の厳しい干渉環境やモバイル環境においても, 6G が求める省電力性・高通信品質・超多数接続をリアルタイムで達成し, 近未来のスマート社会基盤の構築に貢献する. 本研究は省電力無線ネットワーク設計が専門のパリ・サクレ大のチームと行う.
2023年度は, IoT無線通信やショートパケット通信の性能向上に向け,新しい無線アクセス法を考案した.主に,マルチエージェント強化学習法や B5G に向けたマッシブMIMO-BF 法, 知能電波反射面(RIS)等の最新の無線通信技術を取り入れた.特に,省電力性やエネルギー利用効率の向上を目指し,マルチエージェント深層強化学習法と数理最適化手法を活用した提案法を設計した.計算機シミュレーション評価により,従来の学習法や最適化法を用いた無線アクセス法に比べて,各ユーザが要求する伝送速度や遅延性能の達成満足度を改善できることを示した.
|