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2022 年度 実施状況報告書

国際共同研究による非自励力学系としての臨界的計算システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 22KK0159
研究機関大分大学

研究代表者

末谷 大道  大分大学, 理工学部, 教授 (40507167)

研究分担者 松木 俊貴  大分大学, 理工学部, 技術職員 (00915928)
高見 利也  大分大学, 理工学部, 教授 (10270472)
研究期間 (年度) 2022-10-07 – 2026-03-31
キーワードランダム神経回路網 / カオス / リザバー・コンピューティング / 一般化同期 / 時系列予測
研究実績の概要

2022年度は以下の研究を行なった。
(1)有限サイズランダム神経回路網におけるカオスへの分岐の多様性:素子数が有限のランダム神経回路網では、素子数無限大の熱力学極限と異なり、カオスは連続した分岐によって生じることが指摘されている。そこで、多数のリターンプロットや分岐ダイヤグラムを詳細に観察することで、結合行列と初期条件の選択に依存して多くのカオスへのルートが存在することを確認した。さらに、その分岐の多様性が明確な統計的スケーリング則に従うことも明らかにした。また、トーラスのフラクタル化に伴うカオスへの遷移や、トーラスに閉じ込められたままカオス化する現象などこれまでに報告されていない現象も新たに発見した。これらの結果について、現在論文を纏めている。
(2)外部信号に誘導されるリザバー内のアトラクタ構造と時系列予測性能との関係:従来のリザバー・コンピューティングの研究では、いわゆるedge-of-chaosにおいて性能が最適化されると言われてきた。持続的な外部入力がある場合での条件付きLyapunov指数と時系列予測のパフォーマンスを比較した。その結果、いわゆるedge-of-chaosというよりも、外部信号のアトラクターと誘導されるアトラクタ構造に類似性がある際にパフォーマンスが最適化されることが示唆された。これらの結果については物理学会で報告した。
(3)脈波を簡易的に計測する装置の開発:本研究では、Max-Planck研究所と共同して大自由度力学系を用いた時系列モデルによる循環器系ダイナミクスのリアルタイム予測を目指している。実験データや数値シミュレーションデータはMax-Planck研で実施している研究データを利用するが、大分大学においてもLEDセンサーとArduinoを用いて簡易的に脈波をリアルタイム計測できる装置を開発した。 実際に時系列データを採取することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績でも述べたように、2022年度では論文として纏められる結果を得たため。また、第2テーマについても結果を蓄積し、論文として纏めるための準備が進んでいる。

今後の研究の推進方策

(1)については2023年度前期前半中に学術誌に投稿する。さらに本研究で新たに出てきた問題、特に高次元トーラスに埋め込まれたカオスの発生機構について新たに研究を始める。また、有限サイズのランダム神経回路網では多種多様な分岐ダイアグラムが現れるがそれらを分類・整理し、結合行列からダイレクトに予測するための機械学習アプローチを提案したいと考えている。
(2)については2023年度後期-2024年度前期に予定しているMax-Planck研究所での滞在中に、ホストであるUlrich Parlitz氏と共同研究を実施し、成果をまとめる。また、別研究で行なっていた脳波データを用いた個人特性の解析などに応用する。
(3)については、分担者である高見氏・松木氏と協力して長時間安定した時系列の計測・記録やリアルタム予測を行うための実験パラダイムの構築や計算プログラムの作成を進める。
また、高見氏が中心となってboidなど群れ運動を利用したリザバーコンピュータを提案し、その能力について検証する。

次年度使用額が生じた理由

申請時には当該予算のみで購入を考えていた計算機について、本年度で新たに得た別予算との合算支出がしたため。本年度で予想よりも早く研究成果が纏まる見込みが出たため、論文出版費用などに充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ランダム神経回路における入力に誘起されたアトラクターの次元と一般化同期との関係2023

    • 著者名/発表者名
      末谷大道
    • 学会等名
      日本物理学会2023年春季大会

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公開日: 2023-12-25  

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