研究課題/領域番号 |
22KK0161
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清野 健 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40434071)
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研究分担者 |
金子 美樹 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (10795735)
重松 大輝 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50775765)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2028-03-31
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キーワード | 生体情報解析 / 戦争体験 / 時系列解析 |
研究実績の概要 |
ウクライナの状況を確認し,実現可能な研究を進めるため,ウクライナの首都キーウに住むAnton Popov(ウクライナ工科大学)と遠隔会議をほぼ毎週実施した.ウクライナは現在もロシアからの軍事侵攻を受けている.キーウでは,2022年10月から3月中旬までは断続的にミサイルおよびドローン攻撃があった.2023年3月中旬からキーウへの攻撃は止み,2022年11月から続く電力不足も回復しているということであった.我が国の外務省は,ウクライナ全土に対して引き続き危険レベル4の退避勧告を発出しているため,現在,ウクライナへの渡航は不可能である.また,ウクライナでは,18歳から60歳の男性の出国が法的に制限されているため,ウクライナ側の研究者の出国も不可能である.そのような状況でも遠隔会議は比較的安定して実施できた. 戦争ストレスによる心身への影響について,文献調査を行った.これまで,戦争のトラウマ体験は,身体化障害、心的外傷後ストレス障害、不安障害、大うつ病、敵意、人間関係の問題、アルコールと薬物の誤用、機能障害などの心理社会的後遺症の発症と関連することが報告されている.先行研究に基づき,質問紙調査の内容を検討した. 新型コロナウイルス罹患後の嗅覚と脳波の関係を調べた.新型コロナウイルス罹患後の嗅覚に関連した脳活動をキーウ大学のIgor Zymaらが計測した.そのデータの予備的解析として,スペクトル解析,コヒーレンス解析,フラクタルスケーリング解析を用いた分析を行った.現時点では,嗅覚と脳波特性の関連性は明らかにできていない. 血液検査などに用いる遠心分離機について,回転周波数に依存して発生する不安定振動について分析した.不安定振動の発生にともない,その振幅は確率的に変調する.そのような振幅変調を分析するため,経験的モード分解と方向依存フラクタル解析を用いた解析法を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際にウクライナに渡航しての共同研究は,ロシアからの軍事侵攻が継続しているため不可能であった.しかし,遠隔でのやりとりにより,研究計画を進めることができた.脳波および分析機器の挙動の解析について,ある程度の成果が得られたため,おおむね研究順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス罹患後の嗅覚と脳波の関係について,より詳細に分析を進める.スペクトル解析,コヒーレンス解析,フラクタルスケーリング解析の結果を整理し,研究成果を論文として出版する.さらに,新たな分析方法として,我々が開発した長時間相互相関解析,方向依存フラクタル解析,症状的因果性解析を適用することを検討する. 血液検査などに用いる遠心分離機の振る舞いの解析について,研究成果をまとめる.これまの我々の分析により,遠心分離機の不安定振動には長時間相関特性がみられることが明らかになった.これらの内容を論文として出版する. 戦争ストレスがもたらす心身への影響については,実施可能な研究内容を検討する.軍事侵攻の長期化,断続する空襲警報,ミサイル・ドローン攻撃により,ウクライナの人々は非常な困難な状況に置かれている.倫理的な配慮,安全性の確保を踏まえて,研究の実施を慎重に検討する.可能な範囲で,脳波計測,心拍変動計測を行う研究を実施したい.
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