研究課題/領域番号 |
22KK0177
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 英明 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10552036)
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研究分担者 |
平本 薫 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (40963038)
小宮 麻希 東北大学, 電気通信研究所, 特任助教 (00826274)
守谷 哲 東北大学, 電気通信研究所, 特任助教 (10898117)
佐藤 茂雄 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (10282013)
平野 愛弓 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80339241)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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キーワード | 培養神経回路 / マイクロ流体デバイス / 蛍光カルシウムイメージング |
研究実績の概要 |
運動障害と非運動障害を併発する指定難病の神経変性疾患であるパーキンソン病を対象として,当該疾患に関連する脳領域間結合の人工再構成が可能なマイクロ流体デバイスの開発を進めた.2層のSU-8をパターニングした鋳型上で生体適合性のシリコーン樹脂を硬化させ,その後に生検トレパンで貫通孔を形成することで,マイクロチャネルで繋がれた2つのウェルを有するマイクロ流体デバイスを作製した.作製したデバイスをポリリジンで修飾したプラスチックシャーレに張り付け,モデル細胞としてラット大脳皮質神経細胞を培養した.それぞれのウェルの細胞に対して,蛍光波長の異なる2種類の蛍光タンパク質をアデノ随伴ウイルスを用いて遺伝子導入した.培養11日目において各蛍光タンパク質を観察したところ,ウェルごとの細胞が異なる波長で蛍光し,マイクロチャネルを神経突起が貫通して相互に結合している様子が観察された.この結果は,ウェル毎に独立した環境で神経細胞が培養できることを示している.さらに,蛍光カルシウムセンサータンパク質GCaMP6sを発現した細胞の自発活動をカルシウムイメージングで計測し,本デバイスを用いた培養系において神経活動計測が可能であることを確認した.並行して,神経炎症が大脳皮質神経回路の活動を変調する採用を培養系でモデル化するための実験を進めた.特に炎症性サイトカインinterleukin-6への暴露が引き起こす急性的および慢性的な活動変調を解析し,国際速報誌Biochemical and Biophysical Research Communicationsに報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳領野間の結合様式を培養細胞を用いてモデル化するためのマイクロ流体デバイスを開発し,当該デバイスで初代神経細胞を安定に培養するための条件を見いだした.蛍光カルシウムイメージングによる活動計測にも成功している.
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今後の研究の推進方策 |
2024年6月に代表者と若手分担者が,海外共同研究先のバルセロナ大学を訪問し,それぞれのグループのこれまでの成果を共有し,国際共同研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を効率的に進めることで消耗品等の支出を最小限に抑えることができたため、次年度への繰越が生じた。繰越分は、次年度に消耗品を購入するための物品費や共通機器使用料等に充当する予定である。
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