研究課題/領域番号 |
22KK0187
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小川 佐和子 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (90705435)
|
研究期間 (年度) |
2023 – 2025
|
キーワード | オペレッタ / ハプスブルク帝国 / インターテクスチュアリティ / ユートピア / ディストピア / 第一次世界大戦 / 戦間期 / 初期映画 |
研究実績の概要 |
2023年度は、2023年2月に交付申請を行なったため、短期間の研究活動となったが、2024年度中に渡航が実現できるよう調整作業を行った。共同研究者と適宜連絡を取り合い、共同研究を開始するべく調整を進めた。 共同研究の準備となる基礎研究として、この期間に第一次世界大戦とオペレッタについての研究を深め、研究発表を行い、それにもとづく論文を投稿した。その研究では、大戦中のオペレッタにおいて「平時」の軍事演習から「有事」の召集へと意味が変容したこと、現実とは裏腹にハプスブルク帝国のユートピアが誇大化していったことを明らかにした。さらに、大戦後のオペレッタにおける帝国へのノスタルジーや新世界アメリカと旧世界ヨーロッパの文化的対立について分析した。本研究に際して、共同研究機関であるウィーン亡命音楽センターにご協力いただいた。本論文は来年度中に刊行される予定である。 また、初期ヨーロッパ映画におけるオペラ・オペレッタ・バレエのインターテクスチュアリティに注目し、研究発表を行った。20世紀初頭のヨーロッパ無声映画は、ジャンル・人材・題材などの観点から、オペラやバレエ、オペレッタをはじめとする舞台芸術と密接な影響関係を展開してきた。ジャンルとしては、フランスやドイツ語圏では流行歌やオペレッタを取り入れた初期サウンド映画であるフォノセーヌやトンビルダーが一時的に大量に製作され、これは後のトーキー期のオペレッタ映画へとつながる。こうした映画界とオペラ・オペレッタ・バレエ界の人材の流動性やジャンル越境の豊かさについて研究を実施した。オペレッタ映画については、共同研究者とボローニャ国際映画祭にて特集上映を企画すべく連絡を取り合っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請後(R6.2.20)、間もないので大きな進捗はないが、海外共同研究者と連絡を取り合い、共同研究を開始するための準備を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
渡航期間中の共同研究に向けて、海外の共同研究者たちと連絡を密にとり、渡航後、速やかに研究を実施できるよう十分な準備を行いたい。
|