研究課題/領域番号 |
22KK0190
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
市川 彰 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 准教授 (90721564)
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研究期間 (年度) |
2023 – 2025
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キーワード | メソアメリカ / 気候変動 / 民衆 / 生活 / 技術 / 戦争 / リオ・ビエホ / オアハカ |
研究実績の概要 |
本年度は、2024年2月から実施されているリオ・ビエホ遺跡第二次発掘調査で出土した遺物の整理を実施した。この発掘調査では、古典期後期から後古典期前期(800~1200年頃)に相当する住居、墓、炉、ゴミ捨て場、集石遺構などがみつかっている。これらの遺構から出土した遺物の分析を進めている。遺物の種類は、土器、石器、土偶、石製品、土製品、貝製品など多岐にわたる。これらを洗浄し、肉眼分析をしながら、分類し、実測・写真撮影のための遺物を選定する作業を実施した。発掘調査は2024年5月までの予定で実施されているため、予備段階ではあるが、興味深い資料が多く得られている。まず、土器については古典期後期から後古典期前期の両方の特徴をもった、いわゆる「移行期」の土器が目立つ地区があることがわかった。これは古典期から後古典期にかけて干ばつの影響で人々がいなくなったのではなく、継続的に人々が居住していたことを示す重要な資料である。石器については、基本的には石刃と呼ばれる日常道具がみつかっているが、戦争の痕跡といわれる両面調整尖頭器はあまり出土していない。土偶では、オアハカ地域以外の文化的影響を受けていると思われる型式の土偶がみつかっているほか、武具・防具をまとった戦士と思われる土偶や裸になり縛られている捕虜と思われる土偶がみつかっており、戦争の存在を考える上で重要な資料が得られている。そのほかの製品で特筆すべきは、土製円盤である。この遺物は、ひとつの調査区の住居址もしくはその周辺で多数出土しており、機能については今後の詳細な分析が必要であるが、装飾がほどこされていたりするなど、特殊な機能を持っていた可能性がたかい。今後はこれらの遺物をより総合的に記録・分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発掘調査も順調で、多種多様な遺物を十分に確保できているため。
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今後の研究の推進方策 |
遺物整理のための補助員を増員し、効率的に遺物整理を進めることと、現地の研究協力者とともに理化学分析のための許可申請などを現地当局とおこなう準備をすすめることである。
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