研究課題
第一年目においては、計画どおり、年度の後半から台北の中央研究院近代史研究所において訪問研究員の資格と近代史研究所の協力を得て、調査・研究を実施した。史料収集については、中央研究院近代史研究所档案館、国史館、国立政治大学図書館および同図書館社会科学資料中心中国国民党党史館档案、国家発展委員会档案管理局、法務部調査局第四処資料室等において、日中戦争期の中国共産党関係の資史料収集を実施した。また、共同研究者である中央研究院近代史研究所の蘇聖雄助研究員と定期的に意見交換を実施するとともに、蘇聖雄助研究員による防衛省防衛研究所、外務省外交史料館、国立国会図書館における関連する資料の収集を実施した。第一年目は全体計画の前半に相当するが、当初の計画にもとづき、主として、日中戦争中の国民党と共産党の協力関係が実際にどのような取り決めであったのか、国民党に対する瓦解工作の実態解明について検討・分析を進めた。これらは具体的に積極抗戦から消極抗戦への変更に関する研究、および国民党の攻勢に対する対敵瓦解工作に関する研究として実施し、前者においては主として近代史研究所档案館ならびに法務部調査局が所蔵する法務部調査局史料を利用しつつ、公刊されている共産党の資料と対照しつつ、分析を進めている。後者においては主として攻勢を取る国民党側からアプローチしつつ、国民党側の史料を用いつつ共産党の反応から対敵瓦解工作の実態解明を進めている。これらはいずれの課題も現在初歩的なとりまとめの段階にある。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画に沿って資料収集とその検討が実施できていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
今後の研究については、前半部分の取りまとめを実施するとともに、後半部分の日中戦争期後半における日本軍の作戦に乗じた勢力拡大の解明、共産党の対米宣伝工作についての解明について着手する。
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防衛研究所『戦争と情報の歴史的考察』防衛研究所
巻: - ページ: 61-81
National Institute for Defense Studies, War and Information in History, National Institute for Defense Studies
巻: - ページ: 55-79